インスタグラムのフォロワーが100万人を超える大人気犬「まる」。今年6月には写真集『柴犬まる』の発売も果たし、今や新しい写真をアップするたび世界中のファンからコメントがつくという。
しかし、愛犬の魅力を余すところなく写真に落とし込むのは意外と難しいもの。というわけで、飼い主の小野慎二郎さんに撮影のポイントを聞いてみた。
インタビューのために足を運んだのは、神奈川県藤沢市の辻堂海浜公園。10月4日、この場所で、小野さんがオーガナイザーを務める、まるファンのフォロワーとその愛犬らのためのイベントWWIM10_tsujidoが開催されたのである。イベントのメインとなるのは、スマートフォンを使った『柴犬まるの「インスタグラム 愛犬の撮り方教室」』。
開催場所に集まったファンたちは、みんなまるのことが大好き。まるの一挙手一投足を見守って、「かわいい!」と大騒ぎ。しかし当の本人は、黄色い声などどこ吹く風で、自由気ままに公園でのひとときを楽しんでいる様子。大勢のファンたちにスマホや一眼レフを向けられても、まったく気に留めていないようだ。
まるの写真を通して、日本の魅力を世界に発信したい
「小さいころから撮影しているからまったく動じることがないので、いつでも素の表情を撮ることができるんです」と話す小野さん。まるの写真をインスタグラムにアップしはじめた当時のまるの年齢は3歳だという。
3.11後、まるを通して日本の魅力を世界に発信することで、みんなを元気付けたいとの想いから、それまでに撮りためていた写真を空き時間にアップすることからスタートしたのだという。
その結果、今ではフォロワーの8割が外国人。「日本の四季や自然の豊かさを中心に発信しているので、それを見て『日本に行ってみたい』と思ってもらえるのはとってもうれしいです」と小野さん。
さらに中には、「犬は苦手なんだけど、まるのことはかわいいと思う」なんてコメントもあるというが、これは小野さんがまるの魅力を上手に切り取っているからに違いない。
「かわいいもの・美しいものをカメラで切り取ると、肉眼で見るより魅力が半減するものなんです。もちろんそれは当たり前のことなんだけど、僕はその魅力を、肉眼で見たときを100とするなら、限りなく100に近づけられるような手法で撮るよう心がけています。例えば、画角や彩度を調整するだけでも、見る人に魅力が“正しく”伝わりますから。
ただし、加工を施すことで“100以上”の魅力を作り込むのは僕の主義に反すること。例えば、写真に写った女性のシワを消して若返らせるとかね」(小野さん)
シャッターを押す前に水平線チェックをお忘れなく!
では、「“正しく”伝えるコツとはどんなものですか?」の質問に対して小野さんがまず挙げてくれたのは、水平線がまっすぐになるようにカメラを構えること。もしくは、既に撮ってしまっている写真に関しては、後から角度を変えるのでもOK!
「インスタグラムにはいろんな機能がありますから、画面上に平行線を表示しての修正も簡単ですよ」
また、例えばまるのように“モフモフしたもの・ふわふわしたもの”の魅力を伝えたいなら、コントラストを調整して“ふわふわ度合い”がよく分かるようにセットするのも手だとか。「“修正”というより“自然に近づける”というイメージだと思ってもらえば分かりやすいと思います」。
さらに、愛犬や愛猫撮影時には、彼らと同じ目線にまで姿勢を落とすのがポイント。「地面に寝転がって撮影することもしばしば」という小野さん。撮影した写真の中には、階段の段差などを利用して、まるよりも低い位置でシャッターを切っているものもあるという。
撮影した写真は現在では、基本的に朝・夕・晩の3回、インスタグラムにアップしている。「朝晩のまるからの『おはよう』や『おやすみ』の挨拶を楽しみにしてくれている方も多いですね」と小野さん。
確かにインスタグラムを見ると、元気いっぱいの午前の顔や、眠りに入る直前のまったりモードのまるがリズムよく並んでいる。
Twitterとの使い分けにも工夫するとより効果的に情報を発信できる!
「インスタグラムって過去に遡りながら一気に眺めるのも楽しいですよね。これに対してTwitterは投稿のタイミングに見てもらえるものなので、みんなに見てもらいたいいい表情が撮れたときや、イベントの告知があるときに活用するようにしています」
最後に、まるのようにたくさんのフォロワーを獲得するためのコツを尋ねてみたところ、「テーマを絞ることですね」との回答。
「例えば、今日はどこどこに行きました、何食べました、なんてバラバラの写真をアップしているインスタグラムに興味を持つ人は少ないと思うんです。『このアカウントはこういう写真に特化している』っていう特徴があると、じわじわとフォロワーが増えていくものだと思いますよ」
自分の趣味を多くの人に発信したい人や、「うちの子を第二のまるにしたい!」という野望を内に秘めている人は、ぜひ参考にしてみてはいかが?