JR東日本は6日、同社の運転台付き車両の一部において、EB(エマージェンシーブレーキ)装置のブザー鳴動までの時間が延びる事象が発生することが判明したと発表した。

一部車両でEB装置のブザー鳴動までの時間が延びる事象が発生したという(写真はイメージ)

EB装置とは、走行中に運転士が力行ノッチ、ブレーキ、気笛、EBリセットスイッチのいずれかを60秒間扱わないとブザーが鳴り、さらに5秒間いずれの操作もしなければ、運転士が疾病などの異常状態にあると判断し、自動的に非常ブレーキを作動する装置。

JR東日本の社内規程では、ブザー鳴動までの時間を60秒に定めているが、今回、ある特定の条件下で60秒以上になることが判明した。具体的には、運転士が同じノッチのまま継続して力行中、ATCやATS-Pによるブレーキが自動的に動作した場合などに、これを運転士の操作と認識してタイマーがリセットされ、EB装置のブザーが鳴動するまでの時間が、その時点から60秒になるという。

TIMS(列車情報管理装置)内のEB装置を制御するソフトウェアが、ATCやATS-Pによるブレーキの作動を運転士が操作した場合と同様に認識する仕様となっていたことが原因。同社が保有する運転台付き車両4,353両のうち、TIMSを搭載した1,548両で同様の現象が発生する可能性があったという。ただし、保安装置であるATCやATS-Pに影響を与えるものではないため、列車衝突の危険はないとのこと。

JR東日本は今後、ATCやATS-Pによるブレーキが自動的に作動した場合でも、EB装置のブザー鳴動までの時間を60秒とするよう、TIMSのソフト更新を行うとしている。