喫煙歴10年の私。果たしてタバコを止めることができるだろうか? |
身体に良くない、それは分かりつつも、ついつい手が伸びてしまう嗜好品、タバコ。値段はぐんぐん上がる一方で、なんとか止めたいと思いつつも、起床時に、食後に、会議後に……と、また手を出してしまう。
身体の健康、そして財布の中身を考えて、禁煙にチャレンジしてみたいとは思っていたが、なかなかきっかけはなかった。しかし、禁煙ガムを使って禁煙してみては? と編集部に言われたので(というよりも強制されたので)、これを機にと禁煙してみることにした。
タバコも悪いことばかりではない
私の喫煙歴は、20歳からタバコを吸い始め、現在の30歳までの10年間である。吸い始め当時、徹夜ばかりのテレビ関係制作会社に勤めていた私は、スタジオに籠もりっきりで24時間フル稼働をしていたため、ストレスが溜まりやすい環境だった上、一緒に仕事をする人にタバコを吸う人がたまたま多かった、ということで自然とタバコに手が伸びていった。
初めて吸った時、「美味しい!」と思ったことを覚えている。頭の中がすっきり、眠気が取れて目が冴える、つまりタバコの成功体験があった。その後、ストレス解消のためタバコを頼るようになった。
タバコを吸う量は1日1箱程度。喫煙は完全に習慣になっていて、朝起きたら、食事が終わったら、営業先を出たら、会議が終わったら、自然と吸うことになっていた。
しかし、タバコも悪いことばかりではない。タバコミュニケーションという言葉があるように、喫煙室でのコミュニケーションは重要だった。会議後の一服で、上司にさっき言えなかった一言や、席で話す内容じゃないことをサラッと話すなど、いいきっかけになっていたことは事実。だからこそ止めようと思ってはいても、実際に行動に移せなかった。
今回試してみたのはガムタイプ
今回試してみた禁煙ガム。 |
各社から販売されていて、薬局やインターネットで購入可能 |
早速、禁煙ガムを試してみる。ちなみに禁煙補助薬にはパッチなどの種類もあるが、禁煙ガムだけでチャレンジする。用法・用量を確認すると、タバコを1日20本程度吸っていた人の禁煙ガム使用個数の目安として、1日あたり4~6個と書いてあった。そこで私は、特にタバコが吸いたくなるタイミングで禁煙ガムを噛もうと作戦をたてた。起床時、昼食後、午後の外回り中のどこか、会社から帰宅する前、帰宅後、この5つのタイミングで禁煙ガムを試してみることにした。
実際に禁煙ガムの味は、通常のガムを想像していると違和感がある。もちろん味を楽しむものではないので、おいしいとはあまり感じない。試した禁煙ガムは、ミント味。数回かむと舌にちょっとピリピリしたものを感じるが、これはガムからニコチンが放出されている合図らしい。それと同時に清涼感のある香りが口に広がった。雰囲気はモヒートを飲んでいる時に似ている。
また、かみ方も通常のガムと違う点がある。通常のガムは、かみ続けるのが一般的だが、禁煙ガムは最初に数回かみ、ほほと歯茎の間に1分間以上置いておき、これを繰り返す。禁煙ガムはかむことで放出されたニコチンを口腔内の粘膜から吸収するからだそうだ。一度会議中にこっそり試してみたが、クチャクチャとかむわけではないので、バレることはなかった。禁煙中の身にとって特にイライラしやすい会議にはおすすめかもしれない。(実際に試してみて、バレた際には自己責任ということで注意してもらいたい)
1週間試した感想は?
1週間試してみた結果だが、タバコを吸いたい気持ちを抑えるのには非常に効果的だと思った。それを強く感じたのは、いわゆるニコチン切れの症状が出たタイミングだった。一般的にニコチン切れになると、集中できなくなったり、落ち着かなくなったりと、ストレスをかなり感じるようになるという。私にもその症状があり、実際に「なんでそんなにソワソワしているの?」と同僚から言われたこともあった。 特に私が印象に残ったのは、タバコを吸いたくなると、肺から何かこみ上げてくるような感覚があり、呼吸が細くなるような錯覚に見舞われたことがあった。そんなときに禁煙ガムをかむと、こみ上げてくるものがスーッと下がっていくのを感じることがあった。これが禁煙ガムの効果なのだろう。
説明書には30~60分かむと書いてあったが、かんでいる時だけタバコを吸いたい気持ちを抑えられるというわけでなく、ガムを捨てたあともしばらくの間はニコチン切れの症状はでてこなかった。
このように日中は禁煙ガムのおかげか、割りとスムーズに禁煙できていたが、実は、1週間のうちに何度かタバコを吸ってしまいそうになったタイミングもある。それはお酒の席である。さすがにお酒を飲みながらガムはかめないので、この点だけは注意したい。今回試してはいないが、よくお酒を飲まれる方はパッチでの禁煙がおすすめかもしれない。
今後も禁煙は続く?
1週間禁煙ガムを試してみて思うことは、「タバコを吸う」行為自体が癖や習慣になっている人は、タバコを吸う代わりにいかにその時間を過ごすか、行動を変えることが必要だ。禁煙ガムはあくまで禁煙を“補助”する薬であり、自分の意志が一番大事なのである。とはいえ、禁煙ガムが意志だけではどうにもならないニコチン切れの症状を和らげてくれたのは実感している。ニコチン依存症は、れっきとした病気であることを考えると、治療薬として禁煙補助薬を使用することもうなずける。
1日1箱450円程度のタバコを吸っていた私が、1日5粒の禁煙ガムだと360円程度で済み、とてもリーズナブルなのもうれしいポイントだ。今後、徐々に禁煙ガムの量を減らしていくことを考えると、さらに財布にやさしくなっていくはず。もちろんまだまだ禁煙を始めたばかりなので皮算用ではあるものの、これからも頑張っていく予定である。