美食の国フランスでは、ワインも身近な存在。ワイン愛好家であるマルケ・イザベルさん(32歳)は、パートナーと共に「F & I Export」を立ち上げ、ワイン・シャンパンの輸出業をスタート。日本での留学、就職経験があり、関西弁も堪能なイザベルさんは、おいしいワインを日本にPR。現地のブドウ農園に自ら足を運び、生産者の発掘も精力的にこなしています。
■これまでのキャリア変遷を教えてください。
大学卒業後に初めて働いた会社は、日本の人材派遣会社。コンサルタントのアシスタント業務でした。実は、高校生のころに東京で1年間、さらに大学4年のときに奨学金で神戸の大学に1年間の留学経験があります。日本語は標準語だけでなく、関西弁も得意ですよ。日常会話はもちろん、書くことも問題ありません。
フランスに戻ってから、石油業コンサルティング・エージェンシーの人事アシスタントとして約2年勤務。そのころ現在のパートナーと出会い、共通の楽しみであったワインの知識を高めて、専門的に携わっていきたい、と思うようになりました。
2013年にパートナーとワインとシャンパンの輸出会社を立ち上げ。フランスには大手企業が経営する農園だけではなく、家族経営で小規模のブドウ農園を営む人も多いのです。技術も高く、熱心な造り手から生み出されるブドウは、味わいの良いワインになります。その素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらいたい。輸出の主な取引先は日本です。商談のために年に1~2回は来日。日本は私が大好きな国であり、食文化も理解しています。品質の良ワインを日本の方にもっと広めたいですね。
■現在のお給料は以前のお給料と比べてどうですか?
会社を立ち上げたばかりなので、まだお給料としてもらっている額はありません。前職では2,000ユーロ(約26万7千円)もらっていたので、それに比べれば現状はとても厳しいと思います。でも今は、品質の良いワインを広めるために努力あるのみです。
■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?
この仕事を始めるにあたって、パリのワインスクールに通いWSET3(世界標準のワイン&スピリッツ中級認定資格)を取得しました。この知識が新しいワインや生産者との出会いを産み、お客さまにもつながっていきます。日々、自分を取り巻く環境や世界観も大きく変わっていて、とても楽しいです。
■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?
私たちが携わる業界は、狭い割にはライバルが多いのです。設立したばかりの小さな会社が、日本のお客さまの信頼を得るのはとても大変。何よりもワインの品質を優先して選定をしますが、取引相手によっては、質よりも価格の安さを重視される場合もあるので、どのように交渉を進めるかは難題ですね。
■ちなみに、今日のお昼ごはんは?
自宅で作りました。メイン料理は、フランスの郷土料理でもあるキッシュロレーヌとラタトゥイユ、それにサラダです。デザートには桃の一種であるネクタリンのクランブル(小麦粉をそぼろ状に焼いたもの)を作りました。もちろん、白ワインも欠かせませんよ。
■日本人のイメージは? あるいは、理解し難いところなどありますか?
留学時代や会社員時代を振り返ると、日本人は行儀が良くて真面目な印象がありましたね。一緒に仕事をしても安心感があって働きやすかったです。印象に残っているのは、忘年会や新年会。お酒を飲みながらにぎやかに過ごしました。コミュニケーションを取るにはとても良い習慣ですね。
■最近TVやラジオ、新聞などで見た・聞いた日本のニュースは何ですか?
最近は、日本についてのニュースやドキュメンタリー番組があまり放送されないので、時々Youtubeで探して見ています。料理を作るのが好きなので、日本料理のサイトやブログはよく見ます。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたね。日本料理はとても洗練されているし、食材の彩りのバランスもいいですね。日本に住んでいた時は、ご飯に納豆、揚げ出し豆腐、鰹のたたきが大好物。どの料理もヘルシーで大好きです。
■休みのとりかたは?
週末はジョギングをしたり、料理をしたりしてゆっくり過ごします。料理はフランス料理以外に、イタリアやスペイン料理、アジアではタイやインドネシア料理を作ることもあります。また、ワイン関連のイベントがある時はできる限り参加しています。
■将来の仕事や生活の展望は?
お客さまと良い関係を築きながら事業を拡張していきたいです。今、アフリカにあるガボンのワインにも注目をしているので、取り扱い国を増やしたいですね。将来的には自分のワイナリーを持って、ワイン作りをしながら快適な空間のB&Bの宿泊施設をやりたいと思っています。