マツダ新型「デミオ」がいよいよ9月26日から順次発売される。「クラス概念を打ち破る新世代コンパクト」との開発コンセプトは、具体的にどのような点に反映されているのだろうか? 予約販売開始発表会にて、実車を見学してきた。
新世代の"マツダ顔"と「魂動」デザインで格の違いを表現
新型「デミオ」は、「クルマの価値はボディサイズに比例する」という既成概念を打ち破ることをめざし、開発されたという。つまり、「従来のコンパクトカーとは格が違う」ということか。ボディサイズや排気量、販売価格、また経済性や実用性第一のイメージから、一般的にコンパクトカーのクラス感はより大きなクルマにはかなわない。ただし、この序列を崩すコンパクトカーはいままでにもあった。輸入車だ。販売価格が高めで、デザイン性に優れたヨーロッパ車など、コンパクトカーでも一目置かれる存在となっている。
では、新型「デミオ」はそんな存在となりうるのだろうか? 「CX-5」「アテンザ」「アクセラ」と共通する、シグネチャーウイングを配した新世代の"マツダ顔"が、ひとつの答えであると感じた。その採用は、全クラスに共通するフロントマスクが与えられたBMWやアウディなどのブランドを連想させる。正面からだと一見、「アテンザ」なのか「アクセラ」なのか「デミオ」なのかわからない……と感じるかもしれないが、それがかえって見る人にクラス感の垣根を取り払ってくれるはずだ。
新世代マツダ車共通のデザインテーマ「魂動 - Soul of Motion」が適用された新型「デミオ」のエクステリアは、ショートオーバーハング、ロングホイールベース、ワイドトレッドにより躍動感が表現された。快適空間よりも走りを連想させる、スタイリッシュなデザインとなっている。実用性を優先し、ミニバンのような見た目のコンパクトカーも支持を得る中での「魂動」デザインの採用は、その他大勢との違いをきっぱりと宣言していて、他と同じであることを嫌うユーザーに好まれるのではないだろうか?
こうしたユーザーがいままで選んでいたのが輸入車なのだが、新型「デミオ」もその選択肢になりうると、実車を見学しながら感じさせられた。
小粋なインテリアで欧州車と張り合う
インテリアについては、発表会にて商品説明を行った開発主査の土井歩氏から、「世界のコンパクトカーのベンチマークになることをめざし、クラスを超えた上質感にチャレンジした」との解説があった。これについては、「13S L Package」と「XD Touring Package」のカラーコーディネーションが雄弁に物語っている。
オフホワイトレザーにクロスのストライプを用いたシートには、質感だけでなく遊び心まで加えられていて、欧州車と張り合えるだけの小粋さを感じた。
ドライバーが常時目にするコクピット周りの作りが安っぽくないことも、上質感を増幅させた印象だ。金属調のリングが精悍なメーター、フロントガラスの手前に車速などが投影される「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」など、ワンランク上のコクピットを構成する。カーコネクティビティシステム「マツダ コネクト」も搭載された。
エンジンは、新開発のクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」と、改良されたガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.3」を用意。「SKYACTIV-D 1.5」は250N・m(25.5kgf・m)/1,500-2,500rpmと2.5Lガソリン車並みのトルクを実現したといい、「SKYACTIV-G 1.3」は先代モデルに比べて全域でトルクを5~10%アップさせたという。どちらも力強い走りにつながる性能で、ここでも街乗りや短距離での運転が想定された従来のコンパクトカーとの違いを打ち出したといえるだろう。
新型「デミオ」は9月26日にガソリン車(2WD)が発売され、10月23日にはディーゼル車(2WD)、12月には4WD車も発売予定。価格は135万~219万2,400円(税込)となっている。なお、東京ミッドタウンで10月17~26日に開催されるデザインとアートのイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2014」に、新型「デミオ」が展示される予定だ。