既報の通り、アクロニス・ジャパンは17日、高機能バックアップソフト「True Image」シリーズの最新版、「Acronis True Image 2015」を発表した。ここでは同日に開催された発表会の様子を紹介する。
Acronis True Image 2015の概要は別記事『アクロニス、Windows/OS X対応の高機能バックアップソフト「True Image」』を参照いただくとして、今回のバージョンから1年間サブスクリプション制のラインナップが加わっている(従来と同じ買い切りのパッケージ版とダウンロード版もある)。
また、2014年7月に発表されたMac(OS X)版の「Acronis True Image for Mac」と、Windows版のAcronis True Image 2015を統合したラインナップも用意された。
Acronis True Image Unlimited for PC and Mac |
Acronis True Image 2015 for PC and Mac |
Acronis True Image 2015 for PC |
発表会の冒頭では、アクロニス・ジャパンの代表取締役である村上督氏が、アクロニス・ジャパンの生い立ちやAcronis True Image製品への思いを述べた。
開口一番、記者席に向かって「ご参加の記者さんたちの中で、アクロニス製品について記事を書いたことのある方は手を挙げて下さい」と問いかける。筆者は前方に座っていたので推測だが、満場一致で挙手…とはならなかったようだ(ちなみに筆者はAcronis True Imageを昔から愛用している)。
それを受け「もっと知って欲しい」として、アクロニスは多くのエンジニアをかかえた開発主体の独立系企業と紹介。バックアップに特化したグローバル企業として「この分野でマーケットリーダーになるしかない」と語る。
アクロニスは個人向けのバックアップ製品からスタートしており、のちに法人向けのバックアップ関連製品へと事業を拡大してきた。「個人向け製品には思い入れがある。個人ユーザーは仕事もしているので、アクロニス製品の良さを知ってもらうことで、法人向け製品の導入にもつながる。個人向け製品に注力する必然性がある」(村上氏)。
続いて、新バージョンのAcronis True Image 2015についてプレゼンテーションを行ったのは、アクロニス・ジャパン リージョナルプロダクトマネジャーの古館興章氏だ。まずAcronis True Imageシリーズの強みとして、「システムドライブのイメージバックアップを簡単に実行して、トラブル時でも簡単に復元できる。例えば、OSが起動しなくなってもブータブルメディアを使って復元でき、この点もAcronis True Imageシリーズが愛されている理由。このイメージバックアップを業界に広めてきた」とおさらい。
その上で、最近はクラウドストレージが普及し、主に写真などの大事な「データ」をクラウドにバックアップするようになったが、大事なデータはそれだけかと問いかけ。「各種インターネットサービスのアカウントとパスワード、Wi-Fi設定、ソフトウェアのライセンスキーなど、失うと面倒で大変なものは多い。イメージバックアップならこれらの情報もまとめて保護でき、万が一のときでも、いつも使っている状態へ戻せる。イメージバックアップをもっと広く理解して欲しい」(古館氏)。
新バージョンのAcronis True Image 2015は、従来のコンセプトを変更した。かつては「PCの保護」が大前提だったが、新バージョンでは「新たな時間を創出」を掲げる。具体的には、マルチデバイス対応を果たすとともに、従来のユーザーインタフェースとユーザーエクスペリエンスを大幅に刷新した。よりシンプルなGUIにすることで、初回のバックアップ設定にかかる時間や復元操作に取りかかるまでの時間を、数分程度に短縮したという。
また、従来バージョンであまり使われてこなかった機能を省くことで、パフォーマンスと信頼性を強化した。こうした機能面の改善によって、障害復旧やデータ移行、バックアップ・リストアという、半ば無駄ともいえる時間からユーザーを解放することが、「新たの時間の創出」を意味する。
筆者が個人的に一番の目玉だと思ったのは、クラウド連携の強化だ。従来バージョンでも、Acronis Cloudというクラウドストレージへバックアップデータを保存できたが(様々な場所とデバイスから参照可能)、パフォーマンスに難があった。大きな原因は他国のデータセンターを利用していたことで、ネットワークのトラフィックや経路、遅延といったボトルネックによって、バックアップのアップロードもリストアのダウンロードも遅かったのだ。
そこでアクロニスでは、Acronis Cloudをホストするデータセンターを東京に増設。ネットワークのボトルネックを減らし、パフォーマンスを大幅に改善した。アクロニスが行ったテストでは、システム全体で約200GBの環境をAcronis Cloudへイメージバックアップしたとき、従来は半日から1日以上もかかっていたものが、Acronis True Image 2015では3時間10分程度に短縮されたそうだ。
もう1つのポイントは、Mac(OS X)版のAcronis True Image for Macと、仮想化ソフト「Parallels Desktop」の融合。もともと同じルーツを持つAcronis True ImageとParallels Desktopが、再び相まみえたかたちだ。機能的には、Acronis True Image for Macを使って、Parallels Desktop仮想マシンのスナップショットをバックアップできる。Parallels Desktop仮想マシンのWindows環境ではAcronis True Image for PCを利用することで、かなり柔軟なバックアップとデータ保護を実現できるだろう(やや上級者向けかもしれないが)。また、モバイルデバイス向けのリモート操作アプリ「Parallels Access」を使って、MacやWindowsのAcronis True Imageを操作することが可能だ。
現在はWindowsもOS Xも、OS標準のバックアップ機能を備えており、それで十分という考え方もあるだろう。しかし、バックアップとリストアの速度、スケジューリング、詳細なバックアップ設定といったところまで見ると、専門ソフトであるAcronis True Imageに分がある。体験版も用意される予定なので、触れてみることをおすすめしたい。