説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhone 6の動画能力は高いという根拠は?」という質問に答えます。

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パソコンやスマートフォンで扱われる動画は、ある一定のフォーマットに従い符合化(エンコード)されています。素の映像信号は膨大なデータ量になりますが、エンコードして効率化することで、インターネット/携帯電話回線でも扱えるレベルのデータ量になります。そのデータを受信し復号化(デコード)することが、動画再生処理の基本手続きです。

そのエンコード/デコードを行う処理系は「コーデック」と呼ばれ、現在パソコンやスマートフォンで主流は、Blu-rayやテレビ/ビデオなどAV機器にも採用されている「H.264」です。H.264のエンコード/デコードは複雑な計算が必要なため、専用ICを搭載しハードウェアレベルで処理することが一般的です。AppleではiPhone 3Gの頃からH.264のチップを搭載しており、ビデオ録画/再生やFaceTimeに利用してきました。

そのH.264の次世代規格に位置するコーデックが「H.265」です。その圧縮効率はH.264と比べ約2倍、同じ動画を同程度の品質で約半分のデータ量に抑えることができます。H.265は4K放送への採用も決定するなどAV機器はもちろんのこと、Android端末でもサポートされはじめています。処理にかかる負荷はH.264以上に高く、専用ICが必要になるため、iPhoneでサポートされるにしても新モデル投入のタイミングだろうと考えられてきました。

H.265チップを搭載しているかどうかの公式情報はありませんが、公開されたiPhone 6のスペックデータには「FaceTimeビデオ:携帯電話ネットワーク経由のFaceTimeはH.264/H.265を使用」という記載があります。動画配信サービスやアプリからH.265のエンコード/デコードを利用できるかどうかは不明ですが、ハードウェアレベルでサポートされている可能性は高く、そうすればH.264品質の動画を約半分のデータ量で扱えることになります。この部分だけをいえば、iPhone 6の動画能力は高いといえるのではないでしょうか。

iPhone 6では、FaceTimeビデオに次世代ビデオコーデック「H.265」を利用できることが明らかになっています