Wi-Fi Allianceは16日、都内で記者会見を開き、Wi-Fiにまつわる現在の状況と今後の方針を説明した。一般ユーザーにとって「Wi-Fi CERTIFIED Wi-Fi Direct」(以下、Wi-Fi Direct)がより使いやすくなるために重要な、ソフトウェア開発および開発者に対する施策についても言及した。
来日したWi-Fi Alliance マーケティング担当ヴァイスプレジデント ケリー・デイヴィス フェルナー(Kelly Davis-Felner)氏は、まず、Wi-Fiがハイテク時代において非常に成功した事例の1つと切り出す。2013年は40億のWi-Fi対応機器が設置され、2018年には100億台に増加するという調査会社のデータを紹介した。Wi-Fi Allianceは今年で15周年を迎え、日本では117社がメンバー企業となっており、2カ所の認定テストラボがある。
今やノートPC、スマートフォン、タブレットと、携帯情報端末ならWi-Fiは当たり前のように利用されている。Wi-Fiの規格(デバイス相互接続の検証と認定)を提供するのがWi-Fi Allianceだ |
2013年は40億のインストールベース、2018年までには100億。世界人口を突破するWi-Fi機器が使われるという予測だ |
P2P接続のWi-Fi Directをより使いやすく
従来のWi-Fi機器は、基本的にアクセスポイント(無線LANルータを含む)に接続して利用していたが、2010年からP2P接続を行う「Wi-Fi Direct」が可能となった。これにより、デバイス同士でコンテンツの共有、閲覧、印刷、再生が実現され、2013年に出荷されたWi-Fi Direct認定デバイスは6億台以上あるという。
今回、Wi-Fi Directの認証プログラムが機能拡張されているが、目的はエンドユーザーがWi-Fi Directをより使いやすくするためのもの。Wi-Fi Direct対応デバイスから見たとき、Wi-Fi Directでつながる機器やサービスを見つけやすくするアプローチや、接続を容易にするためのアプリケーション開発ツールキットを提供する。
例えば印刷プログラムを使う場合は、アプリ内でプリンタを見つけ出してWi-Fi Direct接続したのち、印字を行うといった動作が可能になるという。現時点では「Wi-Fi Direct Send」、「Wi-Fi Direct Print」、「Wi-Fi Direct for DLNA」、「Miracast」という4つのサービスを定めている。
アクセスポイント経由のWi-Fiに変化をもたらしたのが、P2P接続となるWi-Fi Directだ。スマートフォンはおおむね対応してることもあり、昨年の出荷数は6億台以上と推定されている |
Wi-Fi Directとして認証された半分が家電機器。今後もアクセスポイント以外はWi-Fi Direct対応機器が多くなるという |
8月からWi-Fi Directプログラムの機能拡張を認定。従来よりもデバイスを見つけやすく、接続しやすくするためのプラットフォームを提供する |
具体的には、アプリケーション開発に利用できるプラットフォームを提供。これによってWi-Fi Direct対応のアプリケーション開発が容易となり、また利用者も、ワンストップで利用できるという |
2017年には従来デバイスとIoT+SmartHomeのデバイス数がほぼ同数に
前述のケリー氏は、IoT機器(Internet of Things:一般に「モノのインターネット」と呼ばれる)を、Wi-Fiで接続することに関しても説明した。
2017年には、既存のデバイスと同じくらい、IoTとスマートホームデバイスがインターネットに接続されるという。この調査結果を示し、Wi-Fi Allianceではまだ新しいメカニズムの開発や、物理レイヤーの標準化が必要という見解を示した。
一方、Wi-Fiを使うことで、すでに何十億台というスマートフォンやタブレットとの接続が容易であること、レガシー互換の高さ(古いデバイスともつながる)、プライバシーとセキュリティに対する技術を持っている、という点に優位性があると述べている。
質疑応答では、Wi-Fi対応機器の台数増大に対して、従来の2.4GHz帯(IEEE802.11b/g/n)と5GHz帯(IEEE802.11ac/a/n)に加わる拡張についても見解を示した。これは、2016年に認定プログラムが開始される予定の「WiGig」や、1GHz未満の周波数を使うIEEE802.11ahだ。利用目的や通信距離、通信速度によって、無線バンドの住み分けができるだろうとした。