付き合って何年もたつ。お互いの実家にも行き来している。だけど、いっこうに彼は結婚を決心してくれない。そんな悩みをもつ女性は、少なくないと思います。

カルチュア・コンビニエンス・クラブによる調査によれば、現在の結婚相手と結婚するまでに費やした交際期間は、最も多かったもので2~3年(21.6%)という結果があきらかになっています。そして、3年を超えると、その割合は減少にむかいます。つまり、長くつき合ったら結婚を意識するというものでもないんです。

男性に「パブリックコメント(公約)」させる

では、そんな男性たちをその気にさせるのにはどうしたらいいのでしょうか。一つには、パブリックコメント(公約)させるというのも手です。パブリックコメント、言い換えればマニフェストでもあるのですが、マニフェストなら、選挙前に聞いたことがあるというひとは多いと思います。政治家が「○○を実現します」とマニフェストで宣言することによって、政治家はそれを実現しなくてはいけません。つまり、将来の目標に対して自分の行動を縛るわけです。

同じように、結婚に煮え切らない男性を結婚に踏み切らせるためには、男性自身の両親やあなたの両親、もしくは友達などの前で結婚に向けた行動をパブリックコメントさせてみるのです。それは、「いつかは結婚したいと思っている」という程度でもかまいません。本人同士だと、この言葉は曖昧なままで終わってしまいますが、周囲に宣言することによって「あれ、結婚するんでしょ?」というプレッシャーになるわけです。それが両親などの家族に対してであれば、かなり強力に働きます。

「コントラスト効果」を段階的に使っていく

ほかにも、マーケティングの手法などで用いられる「コントラスト効果」を段階的に使っていくというのも、いいかもしれません。コントラスト効果というのは、たとえば、30万円の時計をみせられたあとに9万円の時計を見せられたとき、それを安いと感じてしまう錯覚を意味しています。

結婚に煮え切らない男性にとって、結婚しようといわせるのは30万円の時計を買わせるのと同じです。であるならば、結婚を迫るだけではなく、ときには彼の実家に遊びに行ってみたいと承諾しやすい選択肢を与え、承諾させます。そして、その選択の難易度を徐々に上げていき、これも最終的には結婚をパブリックコメントさせるようにすれば、いいわけです。

ところで今さらですが、どうして最近の男性は結婚に踏み切らないのか。いろいろな調査を見てみると、その理由として結婚後の経済的不安を挙げる男性の割合が、高い傾向にあります。このあたりを、一度ちゃんと向き合って話し合ってみて、彼の不安を解消するというのも大事かもしれません。

※写真と本文は関係ありません

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。