次の図は、横軸にメモリバンド幅、縦軸にメモリレーテンシを取ったグラフで、上が2ソケットのIvyBridge E5と前世代のSandyBridge E5を比べた図である。負荷の軽いところでは差が見られないが、同じDDR3-1600 DIMMの場合で、バンド幅が10%アップしており、DDR3-1867を使うとバンド幅が23%アップしている。
下のグラフは、前世代のE7-4870にDDR3-1067を付けた場合、IvyBridgeのE7-4890v2にDDR3-1600を付けてロックステップモードで動かした場合、E7-4890 v2にDDR3-1333を付けパフォーマンスモードで動かした場合の比較になっている。この場合は、低負荷の場合でもIvyBridgeの方が8~10nsレーテンシが短く、ロックステップモードでも50%高いメモリバンド幅となっている。そして、DDR3-1333を使うパフォーマンスモードではSandyBridgeの2.3倍のメモリバンド幅となっている。
Ivytownでは、IO仮想化に関して、従来の4KBページに加えて2MBと1GBのラージページのサポートを追加している。ワーキングセットの大きい処理の場合、4KBページでは多数のページを使うためのオーバヘッドが大きく性能が出なかった。しかし、ラージページを使うことにより、このオーバヘッドが減り、右下の空色の棒グラフのように、パケットサイズが小さい場合の処理性能が大幅に向上するという。
次のグラフは、横軸にシステムスループット、縦軸にシステムの消費電力を取り、CPUチップのTDPが95WのSandyBridgeと70W、95W、130Wの3種のIvyBridgeシステムを比較したもので、95WのSandyBridgeと70WのIvyBridgeが同じ性能となっている。同じ95WのSandyBridgeとIvyBridgeでは、IvyBridgeの方が9%少ない電力で25%性能が高い。そしてアイドル状態での消費電力はIvyBridgeの方が少なくなっている。ただし、これらの改善は、アーキテクチャの改善の効果だけではなく、22nmプロセスへの移行の効果も含まれている。
そして、95Wの10コアと130Wの12コアのIvyBridgeを比較すると、性能は28%増しであるが、電力は40%近く増えている。
まとめると、Ivytownにより3種のダイと3種のパッケージを開発し、E5の新製品を追加し、E7を新たに製品化した。ハイエンドではコア数を10コアから15コアと50%増やし、クロックも向上させた。LLCの容量も50%アップし、各所のバンド幅もコアの性能向上に見合うように強化している。また、消費電力と効率については引き続き改善を行ったという。
大型のサーバ用プロセサチップは、その設計もさることながら、検証すべき項目が多くテストが大変で、開発に時間がかかる。このため、Ivytownの場合でも、中規模のE5は2013年の8月に発売されたのであるが、上位のE7の発売は2014年2月とほぼ半年のズレがある。
Haswellアーキテクチャのサーバ用のE5製品は未発表の状態で、ハイエンドのE7製品については、まだ、時期の目途もついていない状況であり、当面、Ivytownベースのサーバがワークホースとして頑張ることになる。