JR北海道は10日、北海道新幹線の開業準備に関する今後の取組みについて発表した。この中で、10月中旬に函館総合車両基地(認可申請時の名称)へ新幹線車両H5系を搬入し、12月から走行試験を開始予定としている。
北海道新幹線新青森~新函館北斗間は2015年度末の開業を予定している。建設工事も終盤を迎え、新幹線車両の搬入・走行試験の開始という新たな局面を迎えることから、「体制のさらなる強化を図り、全社を挙げて開業準備に取り組んでまいります」とのこと。
10月1日には、「北海道新幹線開業準備対策本部」が設置され、同社代表取締役社長の島田修氏が本部長を務める。あわせて同社社員約20名からなる「新幹線準備運輸車両所」を函館総合車両基地内に設置。この組織はH5系を使用した走行試験をはじめ、各種試験に対応するための準備組織となる。
新幹線車両による走行試験は12月以降、奥津軽いまべつ~新函館北斗間で実施し、2015年度から新青森~新函館北斗間に拡大。2015年夏頃から乗務員の訓練運転も行われる。
北海道新幹線新青森~新函館北斗間は、全区間の半分以上にあたる約82kmが「共用走行区間」(新幹線・在来線の両方の列車が走行)で、厳冬期の厳しい自然環境で走行するなど特殊性を持つ区間となる。そのため、開業前に実施すべき試験項目(ATC現示試験やすれ違い試験など)も増え、積雪・低温に対する十分な性能検証も必要だという。「これらに対応するため、関係者との協議を行い、拡大間合い等の設定や夜行寝台列車の計画運休なども実施させていただく予定です」としている。