米Appleのクラウドサービス「iCloud」を利用していた米セレブのプライベートな写真が流出した問題で、米AppleがiCloudのセキュリティを強化する方針を打ち出した。同社のTim Cook CEOがWall Street Journalのインタビューに応じ、対策が示された。本件については複数のメディアが報じている。
今回の問題は、当初、Appleのシステムへの不正アクセスとも見られていたが、米Appleは、それを否定するプレスリリースを公表。ユーザー名、パスワード、セキュリティーのための質問を対象とした攻撃により、アカウントが乗っ取られたとしている。Tim Cook CEOも改めて、プレスリリースどおりの公式見解を示し、Apple IDとパスワードのいずれもAppleのサーバーからは漏れていないと述べたという。
そのうえで、iCloudのセキュリティー強化策についても示された。具体的には、誰かがアカウントのパスワードを変更しようと試みたとき、iCloudのデータを新しいデバイスに復元しようとした試みたとき、デバイスが初めてログインをログインするとき、AppleはEメール、プッシュ通知を使って、ユーザーにその事実を知らせるとしている。これまでは、iCloudのデータの復元を試みた際の通知はなかった。同対策については2週間以内(WSJでは米国時間4日に掲載)に通知の送信を開始するとしている。
今回の事件はiCloudの信頼性を失いかねない大きな問題だ。近々の提供が予測される最新のOS「iOS 8」はiCloudの新機能がひとつの目玉であり、iCloudの信頼失墜は、iOS 8を搭載とみられる新型iPhoneの販売にも悪影響を与えかねない。米Appleは米国時間9日にスペシャルイベントを開催し、そこで新型iPhoneを発表するだろうが、発売日までには、対策を済ませておきたいというのがAppleの本音ではないだろうか。