トヨタ自動車は5日、米国ミシガン州で9月5日に開催される「第21回ITS世界会議デトロイト2014」(以下、ITS世界会議)に先立ち、安全運転支援に向けた自動運転技術の開発進捗状況を公表した。

今回公表された主な技術は、高度運転支援システムの「オートメイテッド・ハイウェイ・ドライビング・アシスト(AHDA)」と、要素技術である「車載用イメージングレーザーレーダー(SPAD LIDAR)」、ならびに「3Dヘッドアップ・ディスプレイ(3D-HUD)」など。

米国向けAHDAの実験車両

AHDAは、高速道路上での安全運転を支援することを目的に、2013年秋に開発・公表が行われた技術。今回発表されたAHDAは、2013年発表時のものとは異なって「車車間通信技術」を搭載せず、米国の実際の道路環境にあわせて時速70マイル(約110キロ)まで対応できるように改良されている。

AHDAを構成する技術としては、77ギガヘルツのミリ波レーダーで先行車を検知し、一定の車速および先行車との距離を確保する「ダイナミック・レーダー・クルーズ・コントロール(DRCC)」、白線や前方車両を検知して最適な走行ラインを算出し、自動的にステアリングや加減速を調整する「レーン・トレース・コントロール(LTC)」、高度運転支援システムの利用が制限されうる場面や、ドライバーが運転に集中していないと判断した場合に警告を発するなどして、手動運転と自動運転の切り替えをスムーズに行う「ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)」の3つが挙げられている。なお、今回公表のAHDAはITS世界会議で展示が行われ、それに基づいた技術を2010年代半ばに米国で商品化する予定。

米国向けAHDAの実験車両

要素技術として発表された車載用イメージングレーザーレーダーは、豊田中央研究所と共同開発したものを新たに公開。性能向上に加えて、大幅な小型化や低コスト化が図られている。また、従来のミリ波レーダーとステレオカメラ両方の機能を1つで備え、障害物の位置や形状を高精度で検知できると共に、昼夜を問わずに外光にあわせて感度を調節するアクティブセンサーを搭載した。

3Dヘッドアップ・ディスプレイは、車両の状態・標識・交通状況などの情報を、フロントガラス越しの道路上に重なるように3D表示するインターフェイス。米国のToyota Info Technology Center, U.S.A., Inc.を中心に、人と車両の連携向上を目指して開発が進められている。