イタリア人が焼鳥店を開いたらどうなるのか。そんなユニークなコンセプトを掲げ、2014年6月に開業した「焼鳥と伊葡萄酒のお店 Antonio del Pollaiolo」(アントニオ デル ポライオーロ)。焼鳥店の定番料理の数々が、イタリア料理の技術や発想を取り入れた同店の手にかかると華やかなイタリア料理に変身し、目と舌を楽しませてくれる。
焼鳥も鶏刺しも独自の解釈でアレンジ
まず「焼鳥」は、一口大にカットした鶏肉を1つずつ串で刺し、ピンチョス風のつまみとして提供。塩・胡椒をベースに調味し、七味唐辛子やマスタード、モスタルダ(果実等をシロップに漬けたマスタード風味のイタリアの調味料)を好みで付けて食べる。また「鶏もつ煮」では、イタリア料理のカチャトーラ(猟師風煮込み)を意識し、赤ワインビネガーとアンチョビ、フレッシュトマトで煮込んでイタリア風にアレンジ。「鶏刺し」では、朝挽きの新鮮な鶏胸肉を、エシャロットのソースやペコリーノ・ロマーノをかけてカルパッチョ風にと、多彩なオリジナル料理が並ぶ。
また同店のもう一つの売りは、イタリアワインである。グラスやボトルでも色々と楽しめるが、お勧めはソムリエがセレクトしたグラスワインを1杯ずつ料理に組み合わせた「ソムリエセレクトワインが5杯ついた¥5000コース」(5,000円)。前菜から焼鳥、メインディッシュ、パスタまで全6品の料理と、ワイン5杯がセットでこの価格は非常にお得。
濃厚なレバーをプリン風に仕上げた前菜の「白レバーのキャラメルプリン仕立て」には、すっきりしたスプマンテ。メインの「鶏もつのカチャトーラ風煮込み」は、もともと中部イタリアの料理なので、同じく中部イタリア産のサンジョヴェーゼの赤ワインを合わせるなど、料理の味わいや背景を考慮した組み合わせで、料理とワインが絶妙にひき立て合う。
なぜこのようなコンセプトで開業したのだろうか。店主の星野直人氏に尋ねると、「焼鳥とワインの相性がよいことはすでに知られていて、取り入れる店が出てきていました。またスタッフにイタリア人がいたこともあり、イタリア風の焼鳥をやってみようと考えました」とのこと。イタリア人スタッフの意見も取り入れながらメニュー開発を行い、このようなユニークな料理の数々が誕生した。ちなみに店名の「Pollaiolo(ポライオーロ)」は、イタリア語で鶏小屋を意味するそう。
新しいスタイルの焼鳥とワイン、一度味わってみてはいかがだろうか。