明治安田生活福祉研究所は8月29日、「出産と子育て」に関する調査結果を発表した。調査期間は2014年3月21日~24日、全国の20歳~49歳の男女3,616人を対象にWEBアンケートで実施された。
男性の育児休業取得率は、わずか2%弱
20代~40代の未婚・既婚の男性を対象に、育児休業の取得について調査した結果、男性の育児休業取得率はわずか2%という結果となった。「育児休業を取得したい」と思っている男性がどのくらいいるのか調べたところ、「できれば取得したい(32.0%)」「ぜひ取得したい(19.5%)」と回答した人の割合は、51.5%と5割超に上った。特に20代~30代は、未婚既婚や、子どもの有無に関わらず育児休業取得の意向が高く、若い世代で相対的に「イクメン」志向が強い傾向があることが伺える結果となった。
また、育児休業を取得したい期間について調査したところ、男性の46.5%が「1カ月以下」と回答。一方で、6カ月超を希望する男性は25.4%と4人に1人という結果となった。「職場において取得しやすい制度・環境等の整備や意識の変革がより進めば、現状約2%の男性の育児休業取得率も向上が期待できるのでないでしょうか」と調査ではコメントしている。
育児休業したくない男性3割超
子どもを持つ20代~40代の既婚男性の中には、「育児休業を取得したくない」「あまり取得したくない」という意向の人が3割以上(36.4%)いたが、その理由を尋ねたところ、最も多い理由は「収入が減る(67.6%)」だった。また、「職場が取りにくい雰囲気がある(22.6%)」「評価・昇進・配属等で不利に(22.6%)」「周囲に取っている男性がいない(21.3%)」など、職場の環境を理由に挙げる人も2割強いることが判明。さらに「配偶者が育児休業を取るから」という意見も2割強あることから、「環境面の課題に加え、"女性主体の育児"意識も根強い様子がうかがえます」と調査では分析している。
夫の育児参加…、妻の評価はやや低め
次に、夫の育児参加に対する評価について調査した。子どもを持つ20代~40代の既婚男女を対象に、「夫の育児への関わり度合い」について尋ねたところ、「積極的」「やや積極的」と自身を評価した男性は7割強(71.4%)。対して女性(妻)の評価は66.6%と、男性をやや下回った。
一方、夫が育児に消極的(消極的+ どちらかといえば消極的)と回答した人は、男性で22.0%、女性は29.5%となった。その理由について聞いたところ、男女ともに「仕事が忙しく育児に関わる時間・心の余裕がない(男性62.5%、女性60.5%)」がTOPだった。2位は「自分の時間・自由を優先させたいから」だったが、男性24.3%に対して女性は46.3%という結果に。男性が思っている以上に、女性は夫が自分の自由を優先させたいからと感じているよう。ほかにも「育児は妻の役割だから(男性14.6%、女性23.7%)」「育児は面倒だから(男性4.2%、女性17.9%)」といった項目でも、男女間で意識の差が見られた。
男性の育児参加に必要なのは、環境整備と意識改革
「男性の家事・育児への参加を促すために必要だと思うものは?」と質問したところ、男女ともに「柔軟な働き方(短時間・在宅・フレックス等)の推進・普及」、「職場の理解」、「長時間労働の是正」、「男性自身の意識」といった項目が、いずれもほぼ6割と高い結果となった。男女別では、男性は「長時間労働の是正(66.4%)」「柔軟な働き方(66.3%)」など、主に環境面に関する項目を上位に挙げているのに対して、女性は、「職場の理解(70.5%)」「男性自身の意識(67.6%)」といった、意識面が重要だと考えていることが明らかとなった。
2015年4月から幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援の量の拡大や質の向上を進めていく「子ども・子育て支援新制度(内閣府・文部科学省・厚生労働省)」が本格的にスタート。また、「次世代育成支援対策推進法」が改正され、同じく2015年4月から10年間延長されるとのこと。調査では、「こうした取り組みをもとに、国、自治体、保育施設、企業、家庭それぞれが一体となって子育てをめぐる環境整備やサービス向上等が推進されることが期待される」とコメントしている。