みなさんはゲームの実況配信をご覧になったことがあるだろうか。プロプレイヤーたちによる神がかり的なプレイはもちろんのこと、ゲームを紹介しながら中継したり、リスナーと感想を共有しながら遊んだりと、そのスタイルはさまざまだが、これがなかなか面白い。時にはスポーツ観戦のように、また時にはバラエティ番組のように、多彩な楽しみ方ができる。配信している人はもちろん、鑑賞している人同士でもコミュニケーションが取れ、趣味を心ゆくまで楽しめる世界が構築されている。日本では主にニコニコ生放送やUstreamなどで行われており、海外では「Twitch.tv」などのゲーム専門ライブ配信サービスが、今や一大文化に。昨今ではPC性能やネット環境の向上により、プレイ中のゲームを低遅延で配信することも容易になり、その敷居は確実に低くなった。ゲーマーなら一度は配信してみたいと思ったことがあるのではないだろうか。
そんなユーザーに向けてマウスコンピューターのG-Tuneブランドから発売されたのが、【総師範KSK監修】「裏・顔TV!」配信モデル「NEXTGEAR i640GA4-SP-TV」だ。格闘ゲーマーとしての腕と数々のプレーヤーとの人脈で有名な、総師範KSK氏が、ニコニコ生放送の人気番組「裏・顔TV」配信でつちかった知識と経験を元に監修した、ゲーム配信のための特別モデルとなる。実際に総師範KSK氏もG-Tuneの製品を生放送に使用しており、その性能は期待できるものだろう。
【総師範KSK監修】「裏・顔TV!」配信モデル「NEXTGEAR i640GA4-SP-TV」 |
NEXTGEAR i640GA4-SP-TVの特徴は、AVerキャプチャカード「AVerMedia C127」を標準搭載し、キャプチャカードを別途追加することなく、ゲームなどのライブ配信が可能なことだ。加えて、ライブ配信ソフトの定番「Xsplit」の2年分ものライセンスが無償で付属する。2年分のライセンスを契約した場合、その金額は$119にもなるため、かなりお得だ。しかも、本機を購入したユーザーへの特典として、総師範KSK氏直伝のXsplit設定方法マニュアルや、裏顔TV風配信窓データもプリインストール。まさに、ゲーム実況配信にうってつけのモデルとなっている。
今回は、そんなNEXTGEAR i640GA4-SP-TVの魅力と、実況配信の手順について紹介していこう。
高解像度でゲームを動かしつつ中継が可能なスペック
NEXTGEAR i640GA4-SP-TVは、「NEXTGEAR i640」シリーズをベースとしたG-Tuneのミドルタワーモデル。CPUには定格4.0GHz(ターボ・ブースト機能利用時最大4.4GHz)という高い動作クロックを実現して話題となった、Devil's Canyonことインテル Core i7-4790Kを搭載している。4つのCPUコアに加え、Windowsからはハイパースレッティング機能で8スレッドのCPUとして動作するため、ゲームはもちろんのこと、動画においてもその能力をいかんなく発揮してくれるだろう。
光沢を備えたブラックケースの前面には、西洋のカブトに取り付けられたバイザーのような印象的な扉が備えられている。電源投入時にはケース内部のブルーLEDが点灯して、目の部分が輝くように見えるという、ゲーマーの心をくすぐる演出も用意。光学ドライブなどの5インチベイデバイスを使用しないときには、スッキリとした外観のまま運用できるほか、ケース前面に取り付けられた12cmファンの騒音を軽減する効果もあるため、実用性も高い。
ケース背面にも12cmファンが取り付けられており、前面吸気、背面排気というエアフローで筐体内の熱をしっかりと外部へ排出することが可能。バックパネルには、USB 2.0×2、USB 3.0×4、PS/2ポート、ギガビットLAN、HDオーディオといった端子が用意されている。マザーボードにはDVI-D、VGA、DisplayPortといった映像出力用端子も備えているが、本機はグラフィックスカードが取り付けられているため使用しない。これらの映像出力端子には、誤ってケーブルを接続しないようにプラスチック性のカバーが取り付けられている。ファンの下部には水冷用ホールも用意されており、将来の拡張時に役に立つこともあるだろう。拡張スロットにはグラフィックスカードと、本機の特徴であるキャプチャカードが搭載されている。
ケース背面もブラック塗装が施されており、高級感を感じさせる。下から2番目の拡張スロットに挿入されているのがキャプチャカードだ |
バックパネルの様子。USB 3.0やHDオーディオ端子などが並ぶ。PS/2ポートも外されていないため、キーボードにこだわりのある方も自分好みの製品を利用できるだろう |
ケースの左側面、CPUとグラフィックカードが設置されている部分には通気用のエアホールが設けられており、ゲーム中にCPU、GPUが発する熱の排気を助けてくれるだろう。パネルを開けて内部を見ると、エアフローを妨げないようタイでしっかりと固定されたケーブルが確認できる。3.5インチベイは脱着式ホルダを採用しているため、工具を使用せずにHDDやSSDの取り付けが可能だ。前面の12cmファンの部分にはベイが用意されておらず、外部からの新鮮な空気を直接カードに届けることができる。またグラフィックスカードをアップグレードする際にも、カード長を気にせずに交換が可能だ。マザーボードにはMSI製のZ97-S01を採用。MSIのWebページには登録されていないモデルだが、その構成はZ97 GUARD-PROに最も近い。拡張スロットはすべてPCI-Expressとなっているため、最新規格の拡張カードを搭載可能だ。また従来のSATA 3.0(6Gbps)の速度を超えた、10Gbpsという速度でストレージへのアクセスが可能なM.2スロットも備えている。
ケース左側面の様子。グラフィックスカードの真横にはエアホールが設けられており、GPUが発する熱を効率的に排気することが可能だ |
ケース内部の様子。マザーボードより長いグラフィックスカードを搭載しながらも、スペースには余裕がある。接続ケーブルはタイでまとめられている |
脱着式ホルダを採用した3.5インチベイ。工具などを使用せずとも、SSDやHDDなどのストレージを脱着可能だ。ベイ上部には12cmファンも見える |
マザーボードにはMSI製のZ97-S01を採用。M.2スロットも備えているので、SSDの追加を考えている人は対応製品を検討するといいだろう |
「GeForce GTX 770」と「AVerMedia C127」がゲーム配信を強力にサポート
続いて、搭載されているパーツを確認していこう。本機の特徴の一つでもあるグラフィックスカードには、NVIDIAの「GeForce GTX 770」が採用されている。ミドルクラスのゲーミングPCに搭載されているGTX 760よりも一段上の性能を備えており、ゲーム中継を行いながらでもゲームを滑らかに表示してくれそうだ。その分、消費電力と発熱も増すこととなるが、カードの長さを超える大型GPUクーラーによって、しっかりと熱を逃がしてくれるだろう。もう一つの特徴であり、本機を配信特化型PCたらしめているのが、キャプチャカード「AVerMedia C127」。ゲーム機などから映像を入力し、そのまま配信することが可能だ。入力端子にはHDMIのほか、VGA端子を採用。VGA端子を備えたキャプチャカードは珍しく、Xbox 360のVGA出力や、ほかのPCからの出力を受けることもできる。また付属の変換ケーブルを介すことでコンポーネント接続も可能なため、PlayStation2などからの入力もOK。最大1920×1080/60fpsまでの入力、1920×1080/30fpsまでの録画に対応している。キャプチャカードの動作については、記事後半で詳しく解説しよう。
動画配信に支障がないよう、そのほかのパーツにも高品質な製品が採用されている。電源ユニットはAcBel製となり、容量に余裕のある定格出力700W製品。AcBelは数々の有名PCメーカーへのOEMで有名だ。メモリにはSamsung製のDDR3-1600を8GB×2、計16GB搭載。ハードディスクには録画にも耐えられる7200rpmのSeagate・2TBモデル「ST2000DM001」となる。
ゲーム配信モデルだからといって、キャプチャに関するパーツ以外は手を抜かれている、ということはなく、高いレベルでバランスの取れたハードウェア構成となっている。次ページでは、動画配信の手順と本機の性能について、実際にPCを起動しながら触れていくことにしよう。
※ここで紹介した各パーツは、今回試用した機種のものです。出荷時にメーカー、型番などが変わる可能性もあります。ご了承ください。