今日では個人で買える社債も多い

「個人向け社債広がる 優待でファンづくり」。そんな新聞記事が目に止まった。最近、「株主優待」が人気だが、社債は株式よりもより安全性が高め。でも、そもそも社債って何? どこで買えるの? 今回はそんな社債のイロハを解説しよう。

社債に愛称、うれしい優待サービスも

冒頭の新聞記事(日経)では、企業が個人を対象に発行する"個人向け社債"の件数が増えていることを伝えていた。今日の個人向け社債には愛称が付けられているほか、購入者に優待を設けているなどの特徴があるそうだ。

例えば、近畿日本鉄道が7月に個人投資家向けに発行した社債は、3月に開業した「あべのハルカス」にちなみ「あべのハルカスボンド」の愛称をつけ、ハルカス内の「大阪マリオット都ホテル」の無料宿泊券などが抽選で当たる特典付き。小田急電鉄の場合は「小田急箱根あじさいボンド」の愛称で、抽選によるグループのホテル宿泊券や商品券の特典がある(ともに9月2日現在販売終了)。

定期預金より金利が高く、株式より安全性が高い

社債とは民間企業が発行する債券。企業が社債を売ってお金を集め、償還日(額面金額を払い戻す満期日)が来たら、債券を持っている人にお金を返す。「社債を買う」ということは、いわば個人がその企業にお金を貸している状態なのだ。お金を貸しているから、償還日が来るまでの間は、債券を持っている人に定期的に利息が支払われる。

社債の魅力は、定期預金よりも高めの金利。例えば2014年9月現在、あるメガバンクの5年満期の定期預金の金利は約0.05%だが、2014年ソフトバンク第46回無担保社債(募集期間8月29日~9月11日)の利息は年1.26%(税引前)。とは言え、現在は社債の利率が低くなる傾向にある。例えばソフトバンクを例に挙げると、今回の46回債が1.26%、45回債が1.45%、44回債が1.689%である。

一方、株式よりも安全性が高いというメリットはある。株式であれば価格に変動があれが、社債は社債を買った企業が債務不履行に陥らない限り、満期まで持っていれば償還日には額面金額(貸したお金の額)が戻ってくる。株式の配当金は企業の利益によって変動するが、社債は決まった利息が約束されている点も安心だ。

社債はどこで購入できる?

社債は証券会社で扱っている。いつ、どんな社債が売り出されるのかは、証券会社に直接出向くか、証券会社のサイトでチェックする。筆者は近所の証券会社に直接行って、「へぇ。今日はこの社債を扱っているんだ」という"日替わり弁当感"が味わうのが結構好きだ。もっとも、この方法は大変非効率なので、ネットで紹介されている個人向け社債の情報サイトや、取扱証券会社のサイトでさらっとチェックすることも大事である。

社債をキッカケに金融商品に親しむ

筆者は夫の転勤で札幌に住んでいた時に、北海道電力の社債を買ったことがある。社債を買うと、おのずとその企業に愛着が出てくる。転勤族の妻で"アウェー感"満載だったのに、「金融商品をひとつ買うだけで、こんなに地元と一体感が持てるのか!」と、新鮮だった。似たような"気分"は株式を買うことでも得られるが、前述の通り、株式よりも社債の方が安全性は高いので、「特定の企業を応援するコトの初心者」は、社債から入った方が心穏やかかもしれない。

金融商品を選ぶとなると、とかく利回りばかりに目が行く。でも、金融商品の"お金では買えない付加価値"を体感してみると、今まで無味乾燥だった金融商品に愛着を感じられるかもしれない。金融商品を身近に感じること、これはお金を貯めるコツの大事なポイントなのだ。

※本文と写真は関係ありません

筆者プロフィール : 楢戸 ひかる(ならと ひかる)

1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。生活に役立つ情報を「主婦er」にて更新中。