既報のとおり、米国時間9月30日にMicrosoftがWindows 9(仮称)のテクノロジープレビューをリリースする、という噂が飛び交っている。

同OSを含む次期Windowsファミリーの開発コード名"Threshold"が登場したのは2013年12月頃。前CEO(最高経営責任者)であるSteve Ballmer時代の組織改編でTerry Myerson氏がOSの責任者に就任した時期までさかのぼる。2014年4月のBuild 2014では、現在のスタート画面と以前のスタートメニューを統合したメニューを搭載した次期Windowsを公開。この時点ではWindows 8.1 Update 2で提供すると語っていた。

しかし8月、Windows 8.1 Update 2と目されていたAugust Updatesは、大規模なアップデートではなく、Microsoftは公式ブログで「Windows 8.1 Update 2はリリースしないと明言するに至った。

Build 2014でスピーチするTerry Myerson氏

スタートメニューを搭載した次期Windows

9月末に登場するWindows 9テクノロジープレビューとは

Mary Jo Foley氏がZDNetに寄稿した記事によれば、Windows 9は仮想デスクトップやチャームバーの廃止なども予定されるという。Foley氏は仮想デスクトップについて、「これらの機能がパワーユーザー向けの隠し機能になるかも明らかではない」と述べている。

チャームバーに対しても「タブレットのみならず、すべてのThreshold(Windows 9)で分離する」と断言。Windowsストアアプリに対する検索や共有といった機能をどのように提供するか不明だが、いずれにせよMicrosoftは、多くのユーザーが感じていた「デスクトップPCにおけるモダンUIの不要性」を認めたことになる。また、別の情報によればWindows Phoneへの実装を進めているパーソナルアシスタントシステム「Cortana」を搭載する可能性も見えてきた。

Windows 8では正式リリースの約1年前にデベロッパープレビュー、約半年前にコンシューマープレビュー(上画面)、約2カ月前にコンシューマープレビューと、3つのプレビュー版を公開した。Windowsの存在感を強く知らしめる役割も大きかった

OSにテクノロジープレビューを適用するのは、筆者が知る限り初めてである(SQLサーバーやWeb開発ツール、MSXMLなどのコンポーネントには提供していた)。本来テクノロジープレビューは実験的な要素を含む開発版であり、Windows 8ではデベロッパープレビューに相当すると思われるが、Foley氏は後日、「(テクノロジープレビューは)パブリックおよび関心のあるユーザーすべてが利用可能」と記事を更新した。

また、Foley氏の「(テクノロジープレビューの)インストール時は毎月の自動更新に同意する必要がある」という記述から、テクノロジープレビューはWindows 9における最初で最後のプレビュー版であることも読み取れる。Foley氏は以前ZDNetに、Windows 8.1やWindows 7 Service Pack 1ユーザーには無償アップグレードを提供する可能性が高い、という記事を寄稿している。

そして、Microsofts現CEOであるSatya Nadella氏は、クラウド市場の獲得をマスタープランとしているが、クライアントとなるWindows OSが1年程度のアップデート期間を必要とする場合、即時アップデートに対応するMicrosofts Azureとの整合性が取れなくなる可能性が高い。これらの事柄から、Windows 9テクノロジープレビューはサブスクリプションタイプの実験台となり、Windows 9は以前から噂されていたサブスクリプションタイプへの移行を始める最初のOSになりそうだ。

阿久津良和(Cactus)