携帯電話の通信速度が向上し、公称で下り100Mbpsを超える通信も登場し、単純に理論値のスピードだけなら、100Mbpsの家庭向けの光ファイバーサービスとも変わらない速度になってきている。とはいえ、携帯電話だと月間7GBまでなど通信容量に制限があるので、家庭のメイン回線としては使いづらい。
やはり家庭でインターネットを利用するなら固定回線が最適だ。固定回線であれば、4K画質のYouTube動画を見ても、高画質の動画ファイルを送っても、大容量のゲームをダウンロードして遊んでも、通信容量を気にする必要がない。
加えて、光ファイバーサービスも高速化が進んでいる。その中のひとつが、NTT東日本が7月より提供を開始した「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー/ギガマンション・スマートタイプ」。下り、上りともに最大でおおむね1Gbpsという高速通信を実現したサービスだ。同サービスを実際に契約し、使い勝手をチェックしてみたので紹介しよう。
速度は1Gbpsクラスに!! でも月額料金はほとんど同額
筆者の自宅は千葉県の戸建て住宅なので、今回契約したのは「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー」。これまで、同じNTT東日本が提供する下り上りともに最大100Mbpsの「Bフレッツ」を利用しており、通信速度に大きな不満はなかったのだが、さらなる高速環境を実現するために、選んだのが「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー」なのだ。
なお今回、「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー」を契約するにあたり、はじめに気になったのは、利用料金(以下、すべて税抜で表記)だ。同サービスの月額利用料は5,700円だが、各種割引サービスの利用が可能。2年間の継続利用を前提に月額700円割り引く「にねん割」の利用や「フレッツ光メンバーズクラブ」加入者に提供される毎月100ポイント(1年目)を料金支払いに充当することで、月額利用料を抑えることができる。このほか、工事費用などの初期費用も発生する。詳細は同社Webサイトを確認するとよいだろう。
■ 月額利用料 | |||
サービス名 | 月額利用料(税抜) | 【参考】割引等適用後の料金(税抜) | |
---|---|---|---|
フレッツ 光ネクスト ギガファミリー・スマートタイプ | 5,700円 | 4,900円 | |
フレッツ 光ネクスト ギガマンション・スマートタイプ | ミニ | 4,350円 | 4,150円 |
プラン1 | 3,750円 | 3,550円 | |
プラン2 | 3,350円 | 3,150円 |
筆者の場合は、これまで利用していたBフレッツと比較し、400円ほど高くなるだけだった。通信速度の上限が大幅に向上しても、料金のアップはわずか! ――というわけで、NTT東日本のサイトから申し込みをしたのだった。
申し込みが完了すると、開通工事だ。筆者の場合は、これまでの光回線終端装置(ONU)をギガファミリー対応のものと交換して宅内の光ファイバーと接続するだけ。時間にして30分程度で完了した。大がかりな工事を心配していたのだがそれは杞憂だった。
工事が済めば、いよいよ「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー」の高速通信を体験できる。なお同サービスの利用者向けにONU(回線終端装置)一体型のルーター「PR-500KI」が提供される。筆者の場合、すでにギガビットEthernet対応ルーターを持っていたが、LANポートが足りなくなっていたので、既存ルーターはブリッジモードにしてハブ代わりに使うことにした。
PR-500KIは背面のギガビットEthernet対応の4つのLANポートを備え、最大4台の有線接続が可能。本体に無線LANカードを挿入することでWi-Fi環境を構築することも可能だ。
なおPR-500KIを設置する際に注意したいのがLANケーブルだ。有線接続する場合には、1ギガビット/秒の「ギガビット・イーサネット」に対応したLANケーブルを使う必要がある。LANケーブルには、イーサネット規格に応じた複数の製品が用意されており、それぞれがカテゴリで分類される。このうち、ギガビットに対応したのはカテゴリ5e、カテゴリ6、カテゴリ7だ。今回、筆者はカテゴリ7のLANケーブルを接続した。なお、パソコン側のLANポートもギガビット・イーサネットに対応している必要があるので注意が必要だ。
通信速度は驚くべき数値に! 4K動画もらくらく再生
今回、筆者はPR-500KIとギガビット・イーサネット対応の自作マシンをカテゴリ7のLANケーブルで直結。この環境で使い勝手をチェックした。
まず試したのは、NTT東日本の「サービス情報サイト」の速度計測ツール。NGN(次世代ネットワーク)経由で通信速度を計測するテストで、同ツールで3回計測し、平均値を算出してみた。結果は下り速度が平均572.73Mbps、さすがに最大値のおおむね1Gbpsとまではいかなかったが、それでも驚くレベルのスピードだ。
続いて、通信速度測定サービス「Radish Network Speed Testing」でも速度をチェックしてみた。こちらは下りが平均413.57Mbps、上りが平均486.9Mbps。同ツールでも400Mbpsオーバーの通信速度を記録した。筆者が「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー」導入以前の「Bフレッツ」で計測した際は、下りが約70Mbps、上りが約71Mbpsだったので、圧倒的に高速化しているのは間違いない。
続いてYouTubeで4K動画を再生してみた。筆者の環境では読み込みで動画が停止することもなく滑らかに再生できた。パソコン本体のスペックも影響するので一概に言えないが、4Kのストリーミングについては特に問題なく再生することができそうだ。このほか、動画配信サービス「hulu」のハイビジョン画質の動画も支障なく利用できた。
続いて、通信速度テスト用に約1GB(1,073,751,824バイト)のファイルを作成し、オンラインストレージサービスの「Dropbox」へのアップロードとダウンロードを試してみた。結果は、アップロードが終了するまでわずか約30秒。アップロードしたファイルのダウンロードは約20秒とこちらも高速だ。
タブレットで特に効果の大きい1Gbps
自宅にWi-Fi環境を構築し、スマートフォン、タブレットを接続している人も多いと思う。そこでPR-500KIとスマートフォン/タブレットをWi-Fi接続して通信速度を計測してみた。
PR-500KIの無線LAN機能は、IEEE802.11a/b/g/n/acをサポート。600Mbps(理論値)の11nと比較して約11.5倍(最大値)の高速化を実現した次世代規格「11ac」に対応している点が特長だ。同じく11acに対応したスマートフォンやタブレットと利用するれば同規格の実力を十二分に発揮できる。
さっそく筆者のスマートフォン「Xperia ZL2 SOL25」とタブレット「GALAXY Tab S」(ともに11acに対応モデル)で速度計測してみた。
結果はXperia ZL2 SOL25では下り上りともに150~160Mbps、GALAXY Tab Sは下り速度で350Mbpsを越える速度を記録した。このような高速環境はスマートフォン向け動画サービスの利用などに最適―― ということでAndroid端末向けのYouTubeアプリの1440p動画を再生してみたが、快適視聴できた。Wi-Fi環境でも“おおむね1Gbps“の実力が体感できると言ってよいだろう。
このほか、11acに対応していないiPhone 5sでも通信速度を計測してみた。結果はこれまでのBフレッツでは決して出なかった速度を記録。下りでは90Mbps超とかなり高速、上りでも70Mbps超となった。
さて本稿では、「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー」の使い勝手を紹介してきた。同サービスのメリットは「とにかくその速度が速い!」という点に尽きる。もちろん接続先サーバーや回線速度にも影響されるため、どんなサービスでも高速になるとは言えないが、“おおむね1Gbps“という速度は、まさに通信速度が「体感できるレベル」で速くなる。
加えて、高速化を実現しながらリーズナブルな利用料が設定されている点もポイントだ。すでに他の光ファイバーサービスを利用しているユーザーが「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー」に乗り換えたとしても、月額料金が大きく跳ね上がるということはない。割引サービスなどを利用することで、これまでと同等の利用料で「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー」を契約することも可能だろう。もちろん、新たに光ファイバーサービスを契約する人にもおすすめしたい。
動画配信サービスをなるべく良い環境で楽しみたい人や筆者のようにWebストレージサービスを頻繁に利用する人、オンラインゲームのプレイヤーには最適なサービスだ。もちろん、通信速度自体が速くなるので、通常のWebサイトの閲覧やTwitter、Facebookなどのソーシャルサービスも快適に利用できるので、ぜひ導入を検討して欲しい。