ドワンゴと日本将棋連盟は東京・六本木のニコファーレにて29日、「電王戦に関する記者発表会2014」を行い、「将棋電王戦 FINAL」を2015年春に開催することを発表した。
「将棋電王戦 FINAL」の会期は2015年3月~4月で、第2回、第3回と同様に5人のプロ棋士と5つのコンピュータ将棋ソフトによる5対5の団体戦。発表会に出席したドワンゴの川上量生会長は、そのタイトルが示すとおり「第2回、第3回と開催してきましたが、5対5としては来年の『将棋電王戦 FINAL』をもって最後となります」と明言している。また、この理由について日本将棋連盟会長の谷川浩司九段は「電王戦が大きな盛り上がりを見せながらも「将棋ファンからはもっと見たい、これ以上負ける姿を見たくないという双方の意見がありました。川上会長から来年で最後にしたいという提案があり、対決から共存という形に変えていきたい」と、この構成での対局が最後となる理由を説明している。
現時点で確定しているルールは、日本将棋連盟から選出された5人の棋士と「第2回将棋電王トーナメント」上位5ソフトによる団体戦。前回同様、出場するプロ棋士は本番と同じソフトおよびハードで事前に練習対局できる環境を用意する。持ち時間は5時間で秒読み1分(昼食休憩12:00~13:00、夕食休憩17:00~17:30)、「第3回将棋電王戦」と同様のルールになるという。谷川会長は現在のプロ棋士選出状況を「まだ確定はしていないが20代~30代の若手棋士、勝率の高い棋士を中心に、コンピュータとの対決へ積極的に意欲を燃やしている人」と言及しながらも、タイトルホルダーが出場しないことを明言。また、本日公開されたPVの中で渡辺明二冠は「ちょっと意見は言わせてもらいましたけどね」と話しており、プロ棋士の選考に助言したという。出場プロ棋士5名は、10月12日に発表される。
さらに、川上会長は昨年行われた「電王戦タッグマッチ」を、2016年の開催へ向けて竜王戦・名人戦につぐ大きな将棋棋戦に成長させていくことを発表し、「竜王戦、名人戦に次ぐ賞金を用意したいと考えています」と巨大棋戦の誕生の構想を説明。参加棋士について、日本将棋連盟理事の片上大輔六段は「確定ではありませんが、全棋士というよりはエントリー参加になるのかなと考えております」と話している。
また、これに先がけて9月20日、23日、10月12日の3日間にわたって「将棋電王戦タッグマッチトーナメント2014」の開催も決定。2つのブロックに分けられたプロ棋士が「第3回将棋電王戦」出場ソフトの指し手を参考にしながら対局を行い、各ブロックの勝者がFinalラウンドに進出。ブロック優勝者2名、シード棋士2名の計4名でさらにトーナメントが行われる。出場するプロ棋士とコンピュータソフトの組み合わせは以下のとおり。これまでの「電王戦」出場者以外では、加藤一二三九段、高橋道雄九段、久保利明九段、西尾明六段、中村太地六段が名を連ねている。なお、豊島将之七段は王座戦のために欠場。
Aブロック
屋敷伸之九段×ponanza
森下卓九段×ツツカナ
加藤一二三九段×やねうら王
高橋道雄九段×YSS
中村太地六段×習甦
Bブロック
佐藤紳哉六段×やねうら王
菅井竜也五段×習甦
西尾明六段×ponanza
船江恒平五段×ツツカナ
阿部光瑠四段×YSS
シード棋士
佐藤慎一四段×ponanza 2013年ver.
久保利明九段×習甦
この日の会見には、高橋九段、西尾六段、中村六段も出席。高橋九段は「1時間の切れ負けは30年くらいやっていない。20代を思い出して、50代の意地でがんばりたい」、西尾六段は「ponanzaの棋譜は一番見ているので癖も掴んでいる。力を融合させた将棋を指したい」、中村六段は「第三回とリベンジマッチですごく強かった習甦が今回は仲間。最高 の棋譜を残したいです」とそれぞれに意気込みを語っていた。
「将棋電王戦タッグマッチトーナメント2014」現時点での確定ルールは、チェスクロック方式、1stRound1回戦、準決勝は各1時間切れ負け、1stラウンド決勝とFinalラウンドは各1時間。消費後は30秒将棋となる。