札幌市円山動物園(以下、「円山動物園」)には、白銀の大自然に映えそうな美しい毛並みを持つオオカミが暮らしている。その名はシンリンオオカミ(学名=Canis lupus lycaon)。神秘的な美しさで、来場客を虜にし続けている。
シンリンオオカミはタイリクオオカミの亜種で、オオカミの中では最も大きく頑丈な身体付きをしているという。主な生息地は北アメリカのカナダ、アラスカの森林地帯。好んで食すのは、野ウサギやシカ、ビーバーなどだ。
家族構成は父親と3頭の子ども
円山動物園では、現在、4頭のシンリンオオカミと会うことができる。ジェイ、ルーク、ショウ、ユウキの4頭で性別はすべてオス。
2005年に群馬サファリパークで生まれたジェイが、2008年に円山動物園に来園して、当時、同動物園で暮らしていたメスのキナコとの間に誕生したのが、ルーク(2010年生)、ショウ、ユウキ(ともに2011年生)の3頭だ。
飼育員さんによると、お父さんのジェイが一番強いそうだ。子どもたち3頭の中では、他の子と比べて臆病なショウがエサの取り合いで負けることが多いのだとか。
ちなみに、飼育員はオオカミに直接触れることはないものの、オオカミたちは飼育員のことを「エサをくれる人」だと認識しているそうで、飼育員の姿を確認すると、そわそわしたり追いかけたりするのだとか。
こんなクールな顔立ちでそわそわするとは想像しがたいが、実際にその“そわそわっぷり”を目撃したら胸がきゅんきゅんしそうである。
気になる食事の内容は、馬肉と鹿肉が中心。他には、鶏肉、豚肉、ヒヨコなどを与えることもあるが、健康への配慮もあって、油分が少なく栄養価の高い馬肉、鹿肉を多めに与えるようにしているという。
「食事は夕方に与えることが多いですが、はっきりと時間を決めているわけではないので、食事タイムを見られた方はラッキーですよ」と飼育員さん。ちなみに、シンリンオオカミは暑さが苦手で、夕方や夜の涼しい時間帯に活発になるとのことなので、彼ら目当ての来園なら、食事時間にあたるかはおいといて、遅い時間にするのがよさそうだ。
「8月30日までの毎週土曜日、通常の営業時間後の17時から21時に『夜の動物園』を開場しているので、8月中が狙い目ですよ」。
普段は営業していない時間帯に動物たちを間近にみられるばかりか、シンリンオオカミの食事シーンを目撃できるかもしれない絶好のチャンスだ。「エサの取り合いの際、唸り声が聞こえてくることもありますが、迫力満点で、やはり犬とは全く違う動物なんだなあと感じること請け合いです」。
最後に、今年はまとまった休みがとれないという人に朗報! 同動物園では、なんと来年夏には新施設「アフリカゾーン』が完成するのだとか。「さらにレベルアップした円山動物園を楽しんでいただけることと思います」との飼育員さんのコメントに、期待が高まるばかりだ。