スマートフォンの利用料金を節約できる格安SIMサービスが注目を集めている。主要キャリアよりも低料金で利用できる格安SIMサービスは、通信業界におけるLCC(Low-Cost Carrier)サービスと言われるが、実際にどのくらいスマートフォンの料金を節約でき、どんな人に向いているサービスなのだろうか?
本稿では、「通信キャリアのLCC」を名乗るSIMサービス「U-mobile」を取り上げ、同サービスの特長を紹介しながら、活用法についても考えてみたい。
音声通話機能を備えたSIMサービス「U-mobile」
U-mobileは、U-NEXTがMVNO方式で提供するモバイルデータ通信サービス。NTTドコモのLTE「Xi」および3G「FOMA」に対応し、エリア内では下り最大150Mbps、上り最大50Mbpsの高速データ通信を利用することが可能。また、データ通信専用のプランに加え、音声通話付きのプランも提供され、090/080/070の電話番号で音声通話を利用することもできる。
U-mobileでは、8月1日よりデータ容量のラインナップを拡充するとともに、音声通話付きプランの名称を「U-mobile 通話プラス」に変更。データ容量のラインナップは、定額制プランについては従来の月間3GBに加え、1GB、5GB、7GBを追加。月間1GBから3GBまでの2段階定額制プランも引き続き提供する。また、U-mobileのデータ通信専用SIMサービス「U-mobile*d」についても、データ容量のラインナップに1GB、5GB、7GBを追加し、名称を「U-mobile データ専用」に刷新した。さらにU-mobileでは、ファーウェイ製のSIMフリースマートフォン「Ascend G6」やプラスワン・マーケティング製の「freetel priori」といった、端末とSIMのセットプランも提供している。今回の改訂により、「U-mobile」の名のもとに、各種サービスが統合したかたちだ。
ちなみに、同サービスを提供するU-NEXTは8月5日に発表会を開催。U-mobileのイメージキャラクターに、"天使すぎる"アイドルとして話題の橋本環奈を起用したことを明らかにしている。
スマホを格安SIMに一本化するなら「U-mobile 通話プラス」
ここからは「U-mobile 通話プラス」および「U-mobile データ専用」のそれぞれについて、詳しい料金プランを確認するとともに、特長や活用法について見ていこう。
音声通話付きプランのU-mobile 通話プラスは、月間のデータ容量に応じて5つの料金プランが用意されている。
定額制プランでは、月額1,580円(以下、金額はすべて税抜)の月間1GBプラン、月額1,980円の3GBプラン、月額3,380円の5GBプラン、月額4,580円の7GBプランを用意。このほか、月間のデータ通信量が1GB以下で月額1,660円、1GB超で月額2,960円の2段階定額制プランを提供する。
サービスの仕様は、次の通りだ。下り最大150Mbps、上り最大50Mbpsの高速データ通信に加え、090/080/070番号による音声通話も利用でき、通話料は20円/30秒となっている。
各プランの月間データ容量を超過すると、通信速度は最大128kbpsに制限されるが、データ容量の追加チャージも可能。チャージ料金は300円/100MB、500円/500MB、800円/1GBの3種類だ。このほか、電話番号宛のショートメッセージを送受信できるSMSも利用でき、国内送信料は1通3円となっている。
U-mobile 通話プラスは、音声通話やSMSも利用でき、主要キャリアのスマートフォンとほぼ同等の使い方が可能だが、同サービスの特長は何よりも料金の安さだ。マイナビニュースの別稿で、おもな音声通話付きSIMサービスの比較表を紹介しているが、データ容量が月間1GB、3GBのプランでは、他社の同クラスのプランと比べてU-mobileが最安値となっている。
また、主要キャリアの料金プランと比較してもU-mobileの安さは歴然だ。たとえば、NTTドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」では、データ容量が月間2GBの最安プランで利用料金の合計は月額6,500円となっている。一方、U-mobile 通話プラスでは、月間3GBのプランが月額1,980円と、データ容量が1GB多い上に4,500円以上も安い。
もっとも、キャリアの新料金プランでは音声通話の定額利用が可能となっているが、差額の4,520円を20円/30秒の通話料で割ると、U-mobileで月間113分以上の通話をした場合、ようやく料金が6,500円を超える計算だ。それほど頻繁に通話しない人であれば、通話料を考慮しても、U-mobileのほうが料金は格段に安くなるだろう。
キャリアのスマートフォンとほぼ同等の使い方ができるU-mobile 通話プラスは、スマートフォンを格安SIMサービスに一本化したい人に最適なプランと言える。同サービスでは、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)による転入にも対応しているため、現在キャリアのスマートフォンで利用中の電話番号を使ったまま乗り換えることも可能だ。キャリアのスマートフォンの料金に不満がある人は、U-mobile 通話プラスを検討してみるとよいだろう。
フィーチャーフォンとの2台持ちなら「U-mobile データ専用」
また、データ通信専用プランであるU-mobile データ専用でも、通話プラスと同様に5つの料金プランが用意されている。
定額制プランは、月額790円の月間1GBプラン、月額1,480円の3GBのプラン、月額2,980円の5GBのプラン、月額3,480円の7GBのプラン。2段階定額制プランは、月間のデータ通信量が1GB以下で月額680円、1GB超で月額1,980円。
サービスの仕様は、次の通り。下り最大150Mbps、上り最大50Mbpsの高速データ通信を利用でき、各プランの月間データ容量を超過すると、通信速度は最大128kbpsに制限される。なお、データ容量の追加チャージも可能で、チャージ料金は300円/100MB、500円/500MB、800円/1GBの3種類。このほか、月額150円を追加することでSMSを利用でき、国内送信料は1通3円となっている。
2段階定額制プランを利用した場合、データ通信量をあまり使わなかった月であれば、最低料金の月額680円で利用可能。通信量が多くなった月でも月額1,980円で月間3GBまでの高速データ通信を利用することができる点がメリットと言えるだろう。
仕事などで通話する機会が多く、通話の使い勝手の良さなどから、フィーチャーフォンを使い続けている人も多いかもしれない。そのような人がスマートフォンも使いたい場合には、キャリアのフィーチャーフォンとの2台持ちで、U-mobile データ専用を利用したスマートフォンを使うのがおすすめだ。
たとえば、NTTドコモのカケホーダイでは、メールやパケット通信を全く使わないのであれば、月額2,200円でフィーチャーフォンの音声通話定額プランを利用でき、国内通話は話し放題となる。これに、U-mobile データ専用のダブルフィックスプランを組み合わせれば、合計2,880円からの月額料金でフィーチャーフォンもスマートフォンも利用することが可能だ。
前述の通り、キャリアのスマートフォン1台で音声通話定額の新料金プランを利用した場合、最安の月間2GBのプランで月額料金は6,500円となっている。そのため、キャリアのフィーチャーフォンとU-mobile データ専用のスマートフォンを2台持ちしたほうが、月額料金はかなり安く抑えられるはずだ。通話をよく利用する人にとっても、フィーチャーフォンとの2台持ちを検討することで、U-mobileは魅力的なサービスとなるだろう。
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U-NEXTが提供する格安SIMサービス、U-mobileについて、音声通話付きプラン、データ専用プランのそれぞれの特長や活用法を見てきた。通話をあまり利用しない人には、スマートフォンをU-mobile 通話プラスに一本化するのがおすすめであり、通話をよく利用する人には、キャリアのフィーチャーフォンとの2台持ちでU-mobile データ専用のスマートフォンを持つのがよいだろう。U-mobileでは、データ容量ごとの料金プランのラインナップも充実しているため、自身の使い方に合ったプランを選択し、スマートフォンの料金を節約することができるだろう。ぜひ、ご参考にしていただきたい。