今夏、アイスクリーム好きの女子の間で大評判のロッテ「ジェラートマイスター」。同商品は、2007年からイタリアジェラート協会(SIGA)主催の国際ジェラートコンテストで6年連続入賞を果たした開発者らの手によって、本場の権威も認めるかつてない本格派の商品として、2013年9月に誕生したものだ。そんな本商品の開発秘話や、本場イタリアならではのジェラートの味わい方について、ロッテアイス 商品開発部開発課の佐久間慶氏に話を伺った。

イタリア最大規模のジェラート協会“SIGA”のマークをつけることを許されたロッテアイスの「ジェラートマイスター」シリーズ

ロッテアイスが行った調査によると、アイスクリームの市場全体の伸張率は、2011年度比で2012年度が104%、2013年度が108%と広がりを見せている。そんな中でもここ数年で右肩上がりで成長を続けているのが、ジェラートカテゴリーだ。伸張率は、2011年度比で2012年度が570%、2013年度は約1170%と、驚異的な拡大を示す。こうしたジェラート市場の急成長について、佐久間氏は次のように見解を語った。

「ジェラートは家庭用商品として一般化されていなかったのですが、ここ数年で一気にポピュラーなものとして広がりました。そもそも、以前は日本市場にそれほどなかったカテゴリーの商品ですので、数値的にこれだけの伸び率になるのは当然だと思います。そういう意味では、新たに市場が作られたといっていい商品です」

さらに、主にレストラン等の外食産業向けの同社業務用ジェラート商品に長年携わり、本物を追求してきた1人として、こうした市場の変化について次のように思いを語った。

「震災以降、人々の価値観の見直しが図られ、質の向上に対する需要、“プレミアム”な商品へのニーズが高まりました。一方、弊社はアイスクリームのトップメーカーとして、市場を拡大していく、創造していくというビジョンのもとに事業を展開しています。これまではアイスクリームのプレミアム商品と言えば、乳脂肪がたっぷりの商品が主流でしたが、弊社としてはそれ以外でプレミアム価値を提供する商品としてジェラートを一般消費者の方々に提供していきたい。素材を活かしたアイスクリームとしての美味しさの価値がまだまだあると思っていて、本商品の開発に力を入れています」

ロッテアイスの商品開発部開発課 佐久間慶氏

そんな熱い想いのもとに企画・開発された「ジェラートマイスター」シリーズ。メーカーとしての一番の“ウリ”として強調するのは、やはりSIGA認定マーク入りの商品であるということ。SIGAは、毎年1月末にイタリアで開催される、約300品が出品されるジェラート部門に特化したコンテストを主催する、由緒ある団体だ。「ジェラートマイスター」シリーズは、世界で唯一SIGAの認定を受けているメーカーであるロッテアイスの自信作である。

そんな本場のお墨付きの商品としてもっともこだわるのは、もちろん素材選び。佐久間氏によると、「地球上で最も美味しいと思われるものを調達している」とのこと。さらに、「最高のジェラートを実現するのは、原料のみならず、職人の感性とスキルとの合わせ技がなせるもの」と強調する。

さらに、こだわりは素材や味覚だけではない。商品パッケージにも知られざるこだわりや創意工夫が多数隠されている。佐久間氏は、本商品を「二度違う味わい方をしてほしい」と話す。まずは表面を削ぐようにスプーンですくって食べ、次によく練ってから食べることを勧めている。

そこでこの“練る”という動作を最適に行うために考え出されたのが、楕円形の容器だ。「女性が片手で持っても持ちやすいということでまずこの大きさになりました。それから、すくったり、練ったりする際に距離を稼ぐことができるように楕円形を採用しました。従来の丸い形状では、スプーンで掘るようになってしまいます。そこで、ジェラートの滑らかな組織を感じてもらえるよう指先の感覚にこだわり、この形状になりました。材質も紙ではなく、練りやすいように硬いプラスチックを採用しています」と話す。

同商品は、現在のところ、定番の6フレーバーと、季節限定の2フレーバーで展開する。今後もシーズンごとに各季節の素材を活かした限定商品を2種類程度発売していく方針で、8月25日には秋冬季限定の2種類の新商品が登場する予定だ。

そんな商品ラインナップの中でも担当者自らが“自信作”と語気を強めるのが「アルフォンソマンゴー」だ。マンゴーの王様とも言われるインド産のアルフォンソマンゴーを100%使用し、購入者アンケートでも「今までのアイスと違う!」との声が多数寄せられ、最も満足度が高い商品だそうだ。

8月25日発売の秋冬の限定ラインナップ。貴重なイタリア栗のみを使用した「マロングラッセ」(左)と、果汁率66%の素材を活かした滑らかな舌触りとほろ苦さが大人の味わいの「ピンクグレープフルーツ」

そのほか、女性に特に人気が高いのが「シチリアレモン」と「フランボワーズ」。濃縮還元果汁ではなく、シチリア産レモンのストレート果汁を100%使用したり、世界各国から選りすぐりのフランボワーズをブレンドするなど、どちらも酸味が効いたさっぱりとした味わいが女性に支持されている商品。しかし、開発当初、男性が中心の経営陣からは「酸っぱすぎる」と実は厳しい評価が下された商品だそうだ。ところが、発売してみたところ、女性を中心に大好評となり、「経営陣にも納得してもらえました」と、発売前のちょっとした苦労秘話が明かされた。

そんな開発者の知られざるこだわりと苦労が詰まった同商品を、佐久間氏は「ジェラートは、食後のデザートとして楽しむのが本場イタリアならではの食べ方。食後の口直しの締めとして、この商品を味わってみてほしいです」と話し、他のイタリア料理とのコラボレーションやライフスタイルとともに、食文化としてのジェラートを広げていきたいと今後の目標が語られた。