三菱電機は8月25日、レーザー液晶テレビ「REAL(リアル) LS1」を発表し、都内で報道関係者向けの新製品発表会を開催した。「REAL LS1」は、液晶テレビ「REAL」シリーズとしても三菱電機としても初となる4K(3,840×2,160ドット)表示対応モデルだ。
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三菱電機、同社初となる4K表示対応のレーザー液晶テレビ「REAL」(2014年8月25日)
バックライトに赤色レーザーとシアン色LEDが採用されており、広い色再現範囲を実現しているのも特徴。4Kパネルによる高精細さと豊かな色階調を備えた映像表示が可能となっている。
ラインナップは65V型「LCD-65LS1」と58V型の「LCD-58LS1」の2モデルで、いずれも発売は10月30日、価格はオープンとなっている。推定市場価格はLCD-65LS1が700,000円前後で、LCD-58LS1が500,000円前後(いずれも税別)。
127%と高い伸びを示す50型以上の市場
発表会で登壇したリビング・デジタルメディア事業本部 家電映情事業部長の菊池康男氏は、まず国内の液晶テレビ市場について説明。
菊池氏は、2014年4~6月のインチ帯別台数伸長率で50型超のモデルは前年同期比127%と高い伸びを示したことを強調。全インチ帯の伸長率平均が95%だったのに比べて突出した伸びとなっており、主流だった30型クラスから大型モデルへ買い換えが進んでいることを窺わせた。
「その中でも、4Kモデルは比率を高めている」と菊池氏は言う。そのような50型超の市場において、4Kテレビの構成比は4月が14%、5月が19%、6月が23%、7月が26%と月を追うごとに加速度的に増えている。菊池氏が言うには「金額ベースでは4割以上」だという。
菊池氏は4Kテレビの需要が増加している背景として、当然のことながら高画質を挙げる。加えて、水平、垂直ともにフルHDの2倍の解像度となることで、最適視聴距離は従来のフルHDテレビに比べると2分の1となると菊池氏は説明。これにより、観賞者の視野いっぱいに画面が広がり、迫力ある大画面の魅力を存分に味わえるという。
一方、購入者が購買時に重視した点として挙げた項目も説明。テレビ購入者全体と4Kテレビ購入者とを比べると、「画質のよさ」「デザイン」「音質のよさ」が4Kテレビ購入者の方が高いポイントとなった項目だという。この点について菊池氏は、「三菱が持つ独自技術を活かした4K対応テレビは、色と音を高レベルで再現する」と語る。
その独自技術の1つが「REAL」シリーズの特徴となっている赤色レーザーバックライトで、これに高精細な4Kパネルを組み合わせることで美しい色と立体感を表現するという。音質面で独自性を打ち出すための技術が、画面の左右に設けられたアルミ製の円筒形スピーカー「DIATONE(ダイヤトーン) サウンドシステム」で、円筒形スピーカーに新素材「NCV(Nano Cabonarized Velocity)」だ。
「先行する他メーカーへのキャッチアップは十分可能」
発表会後の質疑応答では、東芝、ソニー、シャープ、パナソニックなどの競合他社が先行する中、このタイミングで4Kテレビ市場に参入した意図について質問があった。これに対して京都製作所 所長の能勢純一氏は、4K対応テレビを作る技術自体は以前からあったことをまず説明。その上で、「市場から『三菱の4Kはこれだ!』と評価される差別化のための技術を培ってから投入しようと思った」のだという。競合ひしめく市場で一定のポジションを取るにはタイミングを早めるより、技術による差別化を徹底することを選んだ同社だが、能勢氏は「先行する他メーカーへのキャッチアップは十分可能」と力説した。