鴨川シーワールドでは、可愛いと評判の白いイルカ「ベルーガ」に会うことができる。日本近海に野生のベルーガは生息していないようだが、どこからやって来たどんなイルカなのか、鴨川シーワールド副館長の勝俣浩さんに話を聞いてみた。
「ベルーガ」ってどんなイルカ?
ベルーガは、突然変異などで白くなった個体ではなく、「シロイルカ」という和名を持つ白いイルカの種類だ。北極海周辺の海に10頭から数10頭ほどの群れをつくって生活しており、主に魚を食べているが、海底まで潜ってウニやヒトデも食べるそうだ。7月頃になると河口に集まって繁殖行動を行い、その際に脱皮もする珍しいイルカとして知られている。
他のイルカとの身体的な違いは、大人で体長5メートルほどになる大型の種類であること、背びれがないこと、大きくて丸い頭をしていること、体が柔らかいことなどが挙げられる。体の柔らかさに関しては、丸い頭やお腹をダイバーが水中で触ると、ぷよぷよと波打つほどだ。その他にも、首や胸びれが良く動いたり、他のイルカよりもゆっくりと泳ぐ、口をちょっとだけ開けてエサを吸い込むことができる器用な口をしている、という特徴がある。鴨川シーワールドでは、その器用な口を活かして、口に含んだ空気を吐き出す際にバブルリングを作るパフォーマンスも見せてくれる。
また、イルカやクジラの仲間は、音を発してコミュニケーションをとったり、音の反響音から獲物との距離などを測ることで知られている。ベルーガの場合、発生する音(鳴き声)が人に聞き取りやすい周波数であり、かわいい声でよく鳴くことから「海のカナリア」と呼ばれているのだ。
鴨川シーワールドの声マネをするベルーガ?!
ベルーガの飼育を行っている日本の水族館は4館あり、その中でも鴨川シーワールドは最初にベルーガを迎えた水族館だ。鴨川シーワールドには、「ナック(29歳オス)」「デューク(32歳オス)」「マーシャ(27歳メス)」という3頭のベルーガがおり、ベルーガが主役のプログラム「ベルーガパフォーマンス」では、目隠しをしたまま障害物をよけて泳いだり、物の材質を識別するなど、特殊な能力や高い知能を活かした数々のパフォーマンスを見せてくれる。
また、ナックには話しかけると「ピヨピヨ」と鳥の鳴き声のようなかわいい声で返事をしたり、人の声をマネて「おはよう」と挨拶するなどの特技があり、声マネをするベルーガとして人気を呼んでいる。
飼育中のエピソードを聞いたところ、パフォーマンスの訓練中に気分が乗らないと、ダイバーに体当たりするなどのいたずらをすることがあるとのこと。さらに、1頭が始めると他の2頭がおもしろがって協力することもあり、頭が良いだけではなく、他の仲間との仲が良かったり、無邪気な一面もあるようだ。
鴨川シーワールドへ行こう!
鴨川シーワールドは、「海の世界との出会い」を展示テーマとし、800種1万1,000を超える川や海の生き物を飼育展示している水族館だ。自然環境を再現した生態展示を行うとともに、シャチ・イルカ・ベルーガ・アシカがパフォーマンスを行うプログラムなどを行って、生命とそれをとりまく環境の大切さを学ぶことができる場を提供している。
千葉県房総半島外房の東条海岸に面した広い敷地には、太平洋を背景にシャチのパフォーマンスを見ることができる「オーシャンスタジアム」、バンドウイルカとカマイルカのコンビネーション・パフォーマンスが行われる「サーフスタジアム」などの屋外施設や、ベルーガのパフォーマンスが行われるシアタータイプの屋内施設「マリンシアター」、"水の一生"をテーマとして川の源流から海までの異なる環境を自然のままに再現した展示施設「エコ・アクアローム」など、数多くの施設が設けられている。
季節ごとの特別展示や期間限定プログラムなども随時行われ、この夏は、シャチが観客に向かって豪快に水しぶきをかけるパフォーマンス「サマースプラッシュ」(8月31日まで)、夜の水族館を案内してくれる「ナイトアドベンチャー」(8月30日まで)などのプログラムが実施されているので、夏休みの間に足を運んでみよう。
鴨川シーワールドの営業時間・入園料・所在地
営業時間 | 9:00~17:00(8月20日~11月16日) |
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入園料 | 大人(高校生を含む) : 2,800円 / 小人(4歳~中学生)1,400円 / 65歳以上(年齢証明できるものが必要) : 2,100円 学生割引(高校生・大学生・専門学校生 学生証が必要) : \2,200 ※団体料金や年間パスポート等もあり |
所在地 | 千葉県鴨川市東町1464-18 |