8月20日、ParallelsはMac OS X Yosemiteに対応したVMソフトの新製品「Parallels Desktop 10 for Mac」と「Parallels Desktop 10 for Mac Enterprise Edition」を発表した。今回は世界同時発表となっており、日本でも発表会が開催され、その概要などが説明された。当日は、製品担当のAPAC地域担当者ユージニオ・フェランテ氏と製品の陣頭指揮を執るカート・シュマッカー氏が登壇。同日、お二人にParallelsの目指すものとこれからもVMソフトウェア市場について話を聞くことができた。
--- まず現在のVMソフト市場のシェアについて教えてください。
フェランテ BootCampをどれくらいの人が使っているかという情報を持ち合わせていないのではっきりとしたことは言えませんが、昨年の時点で北米市場では89%のシェアを持っていました。
--- Macとのシームレスな統合、ちゃんとWindowsが動く「妥協しない統合」を目指しているというイメージがあります。
シュマッカー MacのフィーチャーをWindowsに持ってくるという部分でのMacとの統合は、私たち自身が誇りに思っているポイントでもあり、Parallelsのパワーはそこに現れていると考えます。例えばMacのジェスチャーをWindows上で使えるように始めてサポートしたのは私たちです。Macで使われるスクロールやズームやピッチがWindows 8に持ってこれたというのは革命的なことでした。
WWDCにも参加してYosemiteの機能を確認し、それらをどうやってWindowsやアプリケーションに持ってくるのかを常に気にしながら開発を進めています。
ハードウェアの統合も重要で、Retinaに対応したのはParallelsでした。開発陣にとってRetinaのインテグレーションは大変だったと聞いています。ただユーザーは最新機能への対応を狙って買っているので、ここはしっかりやるべきだと考えていました。ハードウェアの新しいフィーチャーについて、Windowsを使っていてもMacの新しい機能はしっかり利用したいというユーザーのリクエストに応えるようにしています。MacとWindowsのインターフェイスをシームレスにしていくということが我々にとってはとても重要です。
--- しかし最近は「Windowsでないとダメ」という風潮がなくなりつつあり、Windowsのシェアも減ってきています。その中で今後のVMソフト市場をどのような戦略で進んでいきますか?
シュマッカー 確かにWindowsユーザーの数は減っていますが、まだまだ大きいです。そしてWindowsアプリケーションの数もたくさんあります。例えば社内ではWindowsのアプリケーションを作っている場合、これらは社内では使い続けなければならないでしょう。あるいはそれらのアプリケーションがすでにソースコードがないものもあって、我々が提供しているソリューションがどうしても使わざるを得ない環境があると思われます もうひとつ、Windowsしかドライバがないハードウェアに対応できるという側面もあります。Windows版があるけどMac版がないソフトに対して、新たにMac版を開発するのに同じだけのコストを追加して開発期間を使っていいのかと。だったら仮想環境下で完全に動くことを目指した方がリーズナブルと考えることもできます。
フェランテ 同時に企業の中ではMacを使う環境が増えてきています。日本でも数字に表れていて、アナリストの発表でも法人、教育、学校環境でもMacのシェアが増えてきているようです。そうなるとこれまでビジネス上で使っていたWindowsアプリをMac上で使えるようにするニーズがあり、その中でどのソリューションが一番いいかと言えば、やはり仮想化を使うというのがいいと考えます。 もうひとつそれに対応する形で、今一般ユーザー、企業内ユーザー両方でタブレットが爆発的に延びている。この部分に対して、我々はiOS/Androidに対応した「Parallels Access」という製品を提供しています。
--- Parallels AccessのiOS 8への対応はどうなりますか?
シュマッカー WWDCにはエンジニアを送り込んでおり、Accessの開発者も新しいフィーチャーをiPad上で使えるように作業は進めていますが、iOS 8が出荷されないと我々の製品も出荷できないので……。iOS 8が出荷されたら、Accessがどのような挙動になるのかをお話できると思います。
--- Mac OS XとiOSは統合する方向に進んでいるように思いますが、その場合の対応などは?
シュマッカー Mac OS XとiOSが徐々に統合されていくことは我々も感じています。それに伴ってどういう手を打つかということは考えていますが、そのタイミングやどういった対応にしていくかということはまだお話できる段階ではありません。