めまいのするような暑さが連日続いているが、そんな中で急に38度以上の発熱や喉の痛みに見舞われてしまうことはないだろうか。そんなときは「夏風邪」を疑った方がいいかもしれない。
夏風邪は冬にかかる一般的な風邪と全く性質が異なる。そこで、夏風邪に関する正しい知識を得るべく、ライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんに話を聞いた。
「夏風邪」って、冬の風邪とはどう違う?
一般的に「風邪」と聞くと、冬場に罹患(りかん)する喉の痛みや発熱、鼻水を伴う症状をイメージする人も多いのではないだろうか。確かに夏風邪も発熱などを伴うケースがあるが、そもそも夏と冬の風邪では原因となるウイルスが違うのだ。
のどの痛みや発熱など、いわゆる普通の風邪の諸症状は主にウイルスによって引き起こされるとされている。そしてウイルスは、風邪の原因となるウイルスに限らず、一般に低温で乾燥した環境を好む。そのため、冬場は多くのウイルスが活発となり、風邪をひきやすくなるのだ。
だが、山岸さんは「ウイルスにもいろいろな種類がいて、高温で多湿な環境を好むウイルスもいるんです」と話す。原因となるウイルスが異なるため、症状などにも違いが出てくるというわけだ。
「夏風邪」の代表例は3種類で、子どもがなりやすい
一般的に「夏風邪」と呼ばれる感染症のうち、代表的なものとして「プール熱」「手足口病」「ヘルパンギーナ」の3種類がある。「特に学校などの集団生活をおくるお子さんに流行しています」と、未就学児や小学生などの低年齢の子どもで発症するケースが多いという。
共通する症状として「発熱」や「喉の痛み」などがあり、各感染症の特徴的な症状としては「結膜炎」(プール熱)、「手足をはじめとする全身の発疹(ほっしん)」(手足口病)、「口内の水疱(すいほう)」(ヘルパンギーナ)が挙げられる。
「お子さんが夏風邪にかかりやすい理由としては、小学校や幼稚園、保育園など、集団で固まって行動することが多いことと、大人に比べて抵抗力が十分ではないことが考えられます」。
大人も感染するケースがある
夏風邪の多くは子どもに流行しているが、大人はかからないのだろうか。山岸さんは「免疫力が低下していると、大人でも感染することがあります」。子どもの看病など、家庭内で二次感染するケースも多く、夏バテなどで抵抗力が落ちているとさらにかかりやすいという。
冬場の風邪とは全く症状が異なる夏風邪。比較的子どもが罹患(りかん)しやすいものの、大人も感染するケースが少なくないことから、「大人である自分には関係ない」と油断してはいけない。それでは、具体的に3つの感染症の細かな症状や感染経路はどのようなものなのだろうか。次回以降で詳しく説明していこう。
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取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター: 山岸理恵子さん
ボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。