忍び寄るインフレリスクに備えるには?!

定期預金に預けっぱなしでは、資産が目減りする時代

一時期ニュースや新聞を賑わせていたアベノミクス。ひと頃よりも騒がしくなくなってきた感があるものの、この6月の消費者物価指数(総合)は、前年同月比でプラス3.6%と、消費税増税の影響があったとはいえ、インフレ傾向に傾いています。アベノミクスが掲げる「脱デフレ」が進行している証拠と言えるでしょう。

ちなみに、皆さんのなかには、「インフレって何?」と思う方もいらっしゃるかと思います。インフレというのは、「インフレーション」の略で、物価が継続的に上がっている状態です。昭和の高度経済成長のときがインフレの状態でした。これに対し、バブル崩壊後、日本は政策誘導もあって長らくデフレ(=デフレーション)が続いていました。こちらは、物価が継続的に下がっている状態。すっかりデフレに慣れてしまった私たちですが、インフレになって、給料よりも物価が上がってしまうと生活が苦しくなるので、これを防衛する手段を考えなければなりません。

インフレ、デフレの影響をもう少し考えてみましょう。例えば、皆さんご存知の定期預金。1年定期の利率は現在0.025%くらいです。これは名目金利と呼ばれるもので、物価の変動を考慮した実質金利というものが別にあります。実質金利は名目金利から物価上昇率を差し引くことで求められます。例えば、デフレで物価上昇率が‐1%になると、利率が0.025%であっても、0.025%-(-1%)=実質1.025%の金利と同じことになるのです。ところが、インフレで物価上昇率が1%となった場合、利率0.025%では、0.025%-1%=-0.975%となり、実施的に金利はマイナスとなって、資産が目減りしてしまうことになります。

一般的にインフレになって物価が上昇すると金利も上がるものですが、今は金融緩和の政策をとっていて金利は低く抑えられていますので、預金金利は低いままで、しばらくその状況は変わりそうにありません。このような時、資産を目減りさせないためには、インフレに負けない資産への投資を考える必要があります。

インフレに強いと言われるのは不動産。でも個人での投資は難しいのが現実…

では、インフレに負けない資産には、どんなものがあるのでしょう? インフレに強いと言われる資産の代表格の一つに不動産があります。一般的に物価が上昇すると、不動産の価格や賃料も上昇する傾向にあるのがその理由です。不動産への投資というとアパート経営など、投資家が実際の不動産を所有して経営するというのが一般的。しかし、不動産を購入するための資金は高額になりますし、不動産の管理など専門の知識や手間も必要です。それに不動産は、現金化しようとしてもすぐに買い手がつくか分からず、取引所で売買できる株式などの金融資産に比べて換金性・流動性が低い点も心配です。そこで注目したいのが、REIT(リート)という商品です。

REITとは、Real Estate Investment Trust の略で、これを日本語にすると「不動産投信」となります。その名前のとおり、インフレに強いとされる「不動産」に投資する投資信託です。 投資信託は、たくさんの投資家から資金を集めて、それを専門家が運用する仕組みの金融商品です。REITの場合は、不動産投資法人という一種の会社が、投資家から集めた資金で複数の不動産を購入し、その不動産から賃料収入や売却益を得て、必要な経費等を除いた利益を分配金として投資家へ支払う仕組みになっています。 個人で不動産に投資する場合の問題点を克服する特徴を持っている商品なのです。では、REITの特徴を見ていきましょう。

不動産投資を身近にするREITの特徴!

REITには大きく以下の特徴があります。

○売買しやすい
不動産の売買は、仲介業者を選んだり、必要書類を揃えなければならなかったりと、手続きがかなり煩雑です。不動産取引にかかる手数料や税金などのコストもかかります。また、売りたいときに必ずしもすぐ買い手が見つかるとは限りません。 その点、REITは証券会社で比較的簡単に口座が開設でき、一度、口座を開設すれば、後は電話やネットで売買を注文できます。不動産取引に比べれば、手数料等のコストも安く、話題のNISAを利用すれば利益に対して税金もかかりません。そして、REITは証券取引所に上場されており、取引の注文がここに集められてくるので、売買は容易に行えます。

○少額でも投資できる
不動産に投資するとなると、少なくとも数千万円単位、場合によっては億円単位の資金が必要になります。個人で行うには高過ぎるハードルです。 一方、REITは、現在の水準でみると、基本的に数万円から数十万円で投資できます。不動産に投資するのと比べると、かなり少額の資金で投資できます。

○分散投資が可能になる
REITはたくさんの投資家から資金を集めて、数百億円、数千億円といった大きな資金にして運用しますので、複数の不動産への投資が可能となります。 複数の不動産に投資する(分散投資と言います)ことで、一部の不動産で空室が増えたとしても、他の不動産が高い稼働率で運営されていれば、賃料収入全体が大きく減ることが避けられるなど、一つの不動産に投資する場合に比べてリスクが軽減されます。

○専門家による運用
REITは、不動産投資の経験豊富な運用会社が運用します。また、投資した不動産物件の管理やメンテナンスといった運用以外の業務については、運用会社がこれを専門に行う業者を選定し、監督します。

○収益のほとんどが分配される
REITは年2回あるいは1回、決算を行い、その際に投資家に分配金を支払います。通常の株式会社であれば利益に対して法人税がかかりますが、REITは利益の90%超を分配金として投資家に支払えば、その分の法人税がかからないルールとなっているため、利益のほとんどを投資家に分配しています。このため、通常の株式会社の配当金に比べて、比較的高い分配金が支払われています。

このようにREITは、これまで個人ではできなかった不動産投資を身近にしてくれる商品なのです。また、REITに投資したいといった場合、市場で個別の銘柄を買い付ける以外にも、REITに投資する株式投資信託を購入する方法があり、こちらであれば証券会社だけでなく銀行でも購入することができ、1万円程度のより小口の資金で購入することが可能です。 ただし、REITが投資している不動産の賃料が値下がりしたり、テナントが退去したりすると、賃料収入が減って分配金が減少することもあります。また、REITの価格は取引所で需給により決まるので、値上がりすることもあれば値下がりすることもある点に注意が必要です。

インフレに強いとされる「不動産」への投資を容易にしてくれるREIT。忍び寄るインフレリスクへの備えとして、皆さんもREITへの投資を検討してみてはいかがでしょうか?

[PR]提供:投資信託協会