マツダは8月の2週にわたり、全国7都市で新型「デミオ」プロトタイプの展示イベントを開催した。名古屋でも8~10日の3日間、新型「デミオ」2台を展示。その注目度はきわめて高く、スタッフが価格や発売時期について質問攻めに遭う場面も見られた。

JR名古屋駅コンコースに、2台の新型「デミオ」プロトタイプを展示

老若男女問わず幅広い層から注目を集める

スカイアクティブテクノロジーが世界的に評価され、販売面でも好調のマツダ。新世代商品の第4弾として、今秋発売を予定しているのが、この新型「デミオ」だ。シビアに経済性が求められ、人気モデルがひしめく激戦区であるコンパクトカーこそ、スカイアクティブテクノロジーの真価が試されるといえるだろう。

今回のイベントは、全国7都市で新型「デミオ」プロトタイプを展示するというもので、8月2~4日は東京・大阪・仙台、8月8~10日は札幌・名古屋・広島・福岡で開催。発売前のモデルに触れられる貴重な機会となった。発売よりかなり前に全貌が明らかにされるモデルは増えたが、誰でもプロトタイプに触れられるイベントは珍しいだろう。

ガソリンエンジン搭載モデルとディーゼルエンジン搭載モデルが1台ずつ展示された

スカイアクティブテクノロジーが全面採用となり、パフォーマンスも大幅にアップ

パッケージングの方向性は変わっておらず、ハッチの開口部は狭い。その分、ボディ剛性は高いはず

名古屋における会場はJR名古屋駅コンコース。ガソリン仕様・ディーゼル仕様のプロトタイプが1台ずつ展示された。つねに多くの人々が行き交い、注目を集めるには最高のロケーションで、同車を見て足を止める人も多かった。

その注目度の高さもさることながら、特筆すべきは集まってくる人々の幅広さ。若い男性が運転席に座り、熱心に写真を撮っているかと思えば、スタッフに価格を聞き出そうとする年配女性の姿も。やはり幅広い年齢層から関心を集めているようだ。

もうひとつ気づいたのは、一眼レフカメラを手に、明らかにこの展示イベントが目的でやって来たと思われる人が多かったこと。最高のロケーションでの展示イベントだったが、仮に人通りの少ない会場で開催していたとしても、かなりの人が訪れていたのではないかと思われるほどだ。

有機的なデザインのホイールを装着している

マツダ初となるLEDヘッドライトを搭載

マツダの新しい「顔」ともいえるグリル。細部まで質感が高く、コンパクトカークラスとは思えないほど

オーソドックスにまとめたインテリア。この車両はMT仕様で、マツダでは他モデルも含め、MTの人気はかなり高いそうだ

注目のディーゼルエンジン。ガソリンエンジンより格段に複雑なメカニズムであることがわかる

展示されたディーゼル搭載モデルは上級グレードで、ホイールも高級感のあるものが装着された

来場者の滞在時間が長かったのも印象深い点。「魂動」と呼ばれるデザインテーマが文字通り見る人の気持ちを動かすのか、じっくりと車両の周囲を1周し、じっとボディを見つめる人が多かった。このエクステリアは造形という意味でもレベルが高いが、細部の仕上げの質感も非常に高く、そのことが見る人の目を釘付けにしたようだ。

内装はレザー仕様。シートの座り心地はクラスを超えるものと言っていい。不自然に左にオフセットしておらず、踏みやすいオルガン式のアクセルペダルも注目。インパネは視認性が高く、高級感もある

メータークラスター上に投影式のスピードメーターを備える

リアシートも不足のない広さ。ただし、特別なシートアレンジは採用していないそう

ディーゼルエンジンの性能に自信

会場にいたマツダのスタッフに話を聞くと、予想以上にディーゼルエンジンの注目度が高いそうで、「このクラスにディーゼルを投入するのは怖かったが、反応が良くてほっとしている。もちろん性能には自信を持っている」とのこと。ディーゼルの概念を変えた「CX-5」の実績があるからでは? と水を向けると、「CX-5のディーゼルを出したときは、今回よりもっと怖かったですよ」と本音が漏れた。

1.5リットルディーゼルの走りは、2.5リットルガソリンエンジン並みの分厚いトルクにより、きわめてスポーティ。その上、アクセルを全開にしなくても、ほんの少し踏み込むだけでその恩恵が得られるので、誰にでもそのパワフルさを体感できるという。それでいて、燃費は非常に良い。「燃費の良いモデルは走りを我慢しなければならないのが普通だが、弊社の場合は走りの一番良いモデルが燃費も一番良い」と誇らしげに話すマツダのスタッフの言葉が印象的だった。

まさに「老若男女」の言葉が当てはまるほど、幅広い層から注目を集めた。年配の人が熱心に品定めをしていたのも意外だった

4代目となる新型「デミオ」は今秋以降、日本から順次グローバルに導入開始。国内市場においては、小排気量クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」搭載車と、新世代高効率直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.3」搭載車を導入予定としている。