気になる体重を減らすための秘密とは?

ぽっこりおなかや不眠症に頭を抱える日々。「なんとか改善したい……」と思いながらも、実際に何をしたら効果的なのかわからない人も多いだろう。そんな人は、まず食生活を見直すことが大事だと腸内細菌の権威・辨野義己特別招聘研究員は話す。

2年間でマイナス14kg

辨野特別招聘研究員は、不眠症やメタボリックシンドロームを遠ざけるためのキーワードとなりうるのは、乳酸菌やビフィズス菌などに代表される善玉菌と話す。ふだんから善玉菌が配合されている食事を摂取することで大腸の腸内環境を整えることが、快眠やダイエットにつながるという。

善玉菌によるダイエット効果は、辨野特別招聘研究員自身が身をもって体験している。かつて酒と肉をこよなく愛する食生活を送っていた辨野特別招聘研究員は、50代前半時に身長が168cmで体重は86kg、ウエストは91センチもあったと話す。

一念発起した辨野特別招聘研究員は、乳酸菌やビフィズス菌でつくられるヨーグルトを一日300g、乳酸菌飲料を2~3本を摂取するようにし、さらに食物繊維が豊富な野菜や海藻類を多く食べるように努めた。適度な運動も兼ねることで腸内環境は次第に改善されていき、結果として2年間で体重は14kg、ウエストは約7cmも落ちた。

辨野特別招聘研究員はこのダイエット効果の理由として、腸内環境の良しあしの度合いを意味し、健康にも影響を及ぼす「腸年齢」が20歳も改善されたことを挙げる。

「健康にとって大事な腸年齢ですが、実年齢とのギャップが多く見られます。腸年齢が高い、すなわち腸内環境が悪いと基礎代謝が落ちるために『やせにくく、太りやすい』という体質になってしまいます」

快腸が快眠の基本

腸年齢は質の良い睡眠にも直結すると辨野特別招聘研究員は話す。「脳のルーツは腸です。腸があらゆる感情をコントロールしてくれ、脳の発達にも腸内細菌が関係してくる。すなわち、『快腸』が『快眠』の基本なのです。腸内に悪玉菌などの有害物質をためないと、睡眠はうまくいくのです」。

一般に年齢を重ねると寝つきが悪くなると言われているが、それは腸年齢も加齢と共に高くなっているからだという。すなわち、あなたの腸に住む善玉菌が喜ぶ食事を積極的に摂取して、"腸のアンチエイジング"を実践すれば、60代、70代と年齢を重ねても質の良い睡眠を取りやすくなるということだ。

腸内環境が悪いとさまざまな弊害が

他にも腸年齢が高いことは、さまざまな弊害をもたらす。

「日本人の腸年齢が一番高いのは20代の女性ですが、彼女らの一番の悩みは『肌の状態が悪い』です。あるいは『リラックスできない』『疲れやすい』『冷え性・血行障害になりやすい』ということも、腸年齢が高い人たちにあてはまります」

私たちの体の不調のほとんどが大腸由来だという辨野特別招聘研究員。毎日を少しでも快適に過ごしたいのであれば、乳酸菌やビフィズス菌でつくられる発酵乳食品を毎日1品以上は食べることを心がけてみよう。

筆者プロフィール : 辨野 義己(べんの よしみ)

理化学研究所イノベーション推進センター辨野特別研究室特別招聘研究員。専門領域は腸内環境学。腸内細菌のDNA解析によって新しい最近を多数発見。腸内細菌と病気との関係を掘り下げて研究するとともに、ビフィズス菌や乳酸菌の健康効果をメディアなどで発信している。

著書「一生医者いらずの菌活のはじめ方
・定価: 1,320円(税別)
・発行: 株式会社マイナビ
・200ページ