地域限定飲料は数あれど、もともとその地で生まれた飲料ではないのに、いつのまにか地域に根付いているパターンは珍しい。その飲料とは、小原の「コアップガラナ」だ。コアップガラナは現在、ホッピービバレッジやカゴメ食品など数社で製造されているものの、同社製造のものに限っては北海道限定で発売されているのだ(通信販売を除く)。

北海道を代表する「コアップガラナ」とゼロカロリー「コアップガラナZERO」(ともに147円)

身体にいい成分もたっぷりのヘルシー飲料

商品名にも使用されている「ガラナ」とは、ブラジル・アマゾン川流域に自生するツル性植物の果実のこと。正式学名は「パウイニア・クパーナ」。「ガラナ」の呼び名は、長寿で勇敢なブラジルの先住民「ガラニス族」に由来するという。

コリン、カリウム、カルシウム、アミノ酸、サポニン、ガラニンなど身体に有効な成分を豊富に含有しているため、健康で長生きできそうなところが名前のルーツ通り。また、アルツハイマーの症状を和らげる効果が期待されている、カテキンを含有しているのもうれしい。

こちらがガラナの実

コーラへの対抗策として誕生した「コアップガラナ」

現在では復刻版として「コアップガラナ アンチックボトル」(オープン価格)が発売されている

さて本題。こんな飲料が北海道だけで販売されているのは一体なぜなのか。その答えをひもといてくれたのが、小原代表の小原光一さんだ。

「この飲料の誕生は、コーラと深い関係があるんです。どういうことかというと、昭和30年代前半、コーラの販売が日本で自由化されることへの対抗策として、全国の中小飲料メーカーが大同団結して開発したんです。そして、昭和35年(1960)4月、『コアップガラナ』の統一商標で販売が開始されました。

当時、ブラジルでコーラが売れずに販売元が苦戦しているとの情報をキャッチして調べたところ、ガラナ飲料が圧倒的なシェアを誇っていることが分かったため、ブラジル大使館の協力を得て、日本人向けガラナ飲料を開発しようということになったんです」。

ちなみに、「コアップ」とは「協同」を意味する「CO-OPERATION」と高揚の「UP」を掛け合わせて作った言葉なんだとか。発売当時の価格は200mlで25円。ボトルのデザインは京都の舞妓(まいこ)さんの立ち姿をイメージして作成しており、見た目にも大変美しい一品だった。

北海道は開拓精神でブラジルと響きあう!?

ところが、コーラの台頭により商品は思うように売れず苦戦。そんな中、本州に比べてコーラの進出が2~3年遅れた北海道では、「コアップガラナ」が現地のソウルドリンクとして定着していった。

「コーラの進出時期に加えて、北海道民の嗜好に合ったということも大きかったんでしょうね。私見ですが、規模は違えど、ブラジルも北海道も新天地を切り開くエネルギーにあふれた土地なので、そこで暮らす人々のおおらかな気性に響き合う"なにか"を、ガラナ飲料が有しているのではと思っています」。

ガラナにも様々な種類がある。例えば、ガラナ本来の旨み・コク・苦みをそのままいかすことにこだわった究極の1本「金のガラナ」(オープン価格)や、北海道一の老舗珈琲店「美鈴珈琲」(1932年創業)とコラボした「箱館カフェ・ド・ガラナ」(オープン価格)、売上の一部は白くまのエサ代として寄付している「ホワイトガラナ」(147円)などである。

ガラナのキャッチコピーは「ブラジル生まれの北海道育ち、ガラナのルーツ函館にあり!」。商品を飲めば、北海道民のおおらかな気性にあやかることができるかも!?

「金のガラナ」(オープン価格)

「箱館カフェ・ド・ガラナ」(オープン価格)

「ホワイトガラナ」(147円)

「熊出没ガラナ」「白熊出没ガラナ」(以上オープン価格)

●information
小原
北海道亀田郡七飯町字中島29番2号

※記事中の情報・価格は2014年7月取材時のもの。価格は税込