歌手の森山直太朗が、11日に放送された日本テレビ系ドキュメンタリー番組『オトタビ』(毎週月曜24:59~25:29)に出演し、路上ライブ時代の苦い経験を明かした。

自身の音楽活動を振り返った森山直太朗

森山は音楽活動の原点となった場所、東京・綾瀬を訪れた。20歳の頃、大学の後輩で現在は作詞家の御徒町凧と共に駅前の商店街で路上ライブを行っていたという。御徒町とは、これまでほぼすべての楽曲を共同で制作してきた。当時歌っていた場所を20年ぶりに訪れた森山。「変わってるわ! すごい変わってます」と興奮し、その時に経験したある苦い思い出を明かした。

くわえ煙草で2人の演奏を聴いていたOL風の女性。演奏を終えると「あなた、尾崎の『I LOVE YOU』やりなさいよ」とリクエストされたが、カバーをしていなかったために森山は「ごめんなさい。できません」と断った。すると女性は「弾き語りやってるんだったらそれぐらできなきゃダメよ」と言いながら、森山のギターケースに投げ銭ではなく煙草の灰を落とした。森山は怒るわけでもなく「ありがとうござます!」と感謝の言葉を伝えたという。

母は森山良子、叔父はムッシュかまやつという音楽一家に生まれた森山。「逆に向かっていかないと負けちゃうと思って」と商店街での出来事を振り返り、当時の苦い思い出を「叱られたりとか、数少ない社会との接点だったんです。家族とか知っている界隈じゃなくて、怒られることが、自分に無い筋肉をつけてるような感覚」と捉えている。あえて厳しい環境に身を置きながら音楽性に磨きをかけていった。

最初に作った曲は「高校3年生」。「人前に出るのも恥ずかしい」という理由から母に歌ってもらったところ、母は「私が歌ってもダメね。あなた歌いなさいよ」という言葉を残した。「長年ミュージシャンをやってきている人に私が歌うよりもあなたが歌った方がいいわと言われた時に、少しだけ道が開けた」とこの言葉はその後の音楽活動を続けていく上で大きな後押しとなった。

番組では御徒町がサプライズで登場し、2人が行きつけだった飲食店を訪問。そのほか、父との後楽園球場の思い出が詰まった野球殿堂博物館や亡き祖父の家など自身のルーツとなった場所を巡った。現在放送中のフジテレビ系ドラマ『若者たち2014』で主題歌「若者たち」を歌う森山。音楽一家の魂を胸に、「興味深い音を作っていければ」と語っている。