Q:そのためにHSAとかをやられている訳ですよね?

A:その通りです。こうなると(Maliは)単なるMAC、巨大な積和演算器と考えていただければいいわけです。そうすると、例えばADASの物体認識とか、プロセッサでは性能が不足する部分にマッチします。例えCortex-A57でもその分野では怪しい。(Cortex-A50についてくる)NEON 2を付ければいいんですけど、それよりもMaliの方がスケーラブルですからもっと拡張できるようになります。NEON 2はあくまでNEON 2ですから。

用途によってはNEON 2でも良いのですが、本当にオブジェクト認識とか動体認識とかを、しかもそれを1msec以内に実現できるかという疑問に対して、いわゆる危険物があって、ブレーキ踏むまでの間の時間を、と、考えるとMaliはどうでしょう? とメッセージになります。

Q:ということは、Automotive向けにはASICとして結構有望だろう、と考えているというわけですね。

A:そう思ってますが、問題は民生分野です。特に日本で残っているMFP、それとデジカメ。これは私としてはASICが続いて欲しいと願っています。続かないと面白くなくなる。先ほどの黒船ではありませんが、中国台湾からTVの時の様に、また来ますから。TVと同じ事をもう一回起こすな、というのが私の思いですね。

Q:難しいですね。

A:難しいですね。ただそのために私たちに出来る事があれば、ビジネスモデルやライセンスの形態も含めて考えたいと思っています。ここを逃したら、日本にはFactory Automationと自動車以外なくなりますから。

Q:あとはSmart Energy系でしょうか?

A:そうですね。HEMSとかですね。ただHEMSもソーラーパネルが悪い例なんですが、全部日本が始めたのに、今はパネルは中国とかで生産になってます。

Q:商売になりませんからね。

A:ならないですね。あれはあくまでデバイスですが、同じ事を起こさないように、もう3歩先を行くような事を考えるようにして行かないと駄目ですね。

Q:ただそうは言いつつも、Smart Energyでも日本はちょっと出遅れてますよね。

A:そうなんですよ(笑)。正直、悪くはないんですが良くも無いんですよ(笑)。だから、頑張って欲しいと思っています。そこでARMとしては、社会インフラに近い大手の電機メーカーが海外に輸出する場合にも最大限に応援したいと思っています。そしてイギリスと日本の共同で、どこかに売り込む、とかできれば良いですね。