Q:ただその上位は出来ない?

A:上位に関してが私どもの仕事になります。そこで何をやったかと言うと、Dual Core Lock-Step、これは当たり前ですよね。今ですともうすこし進んでまして、Dual Core Lock-Stepにしたプロセッサを1つと看做して、そのペアを用意するといったケースでのロジックレベルでの対応を、私どもが論理設計としてやっているんです。

Q:ただそうなると「このプロセスだとSingleでいけるけど、こちらのプロセスだとDoubleになる」とかいう話が当然ある訳ですよね。すると、従来のARMのビジネスモデルとは違った形になりませんでしょうか? まず、ライセンスされたメーカーと物凄く緊密にやっていかないといけませんし、しかもコアにしても標準のCortex-R7ではなく、A社向けのCortex-R7とかB社向けのCortex-R7といったものが生まれる事になりませんか?

A:ARMは今、Verilogのソースコードレベルで記述したものが製品です、という形で提供している訳ですが、ある意味そこで記述できない部分は、そうした派生が起きる可能性はあります。ただ、実は今でもそれは起きています。ですから、ある意味そこは対応済と考えていただいて宜しいかと思います。

Q:しかし、今後色々な半導体メーカーが、「では車載向けにCortex-R7を使おう!」となると、さらにその問題が広がる事になりませんか?

A:問題というよりも、すでにあるケースで学んだ事を生かして、より適したライセンシングのビジネスモデルを提供してゆきたい、と思ってますね。

Q:つまりAutomotive向けのライセンシングポリシーを含めて見直してゆく可能性がある、ということですね

A:見直すというか、適合する方向ですね。見直すといっても決して悪い方向に向くわけではなく、あくまでビジネスモデルですので、これまでも変える必要があれば変化はしてきました。

Q:これが例えばCortex-Aシリーズですと、そうそういじれないですよね?

A:そうでもないです。元々RTLといってもConfigurableなんです。ですので、そこの部分での改変できる範囲は限られてはいますが、使う際に必要なところは変えて行けるようになっています。

Q:その辺りは柔軟に対応できる?

A:過去にもしてきましたし、今後もっと必要であるということが判ってきたので、セットメーカーの意向というかニーズにあうように、上手く対応していくという形です。

Q:判りました。では、自動車に話を戻しますが、日本の自動車メーカーに入ろう、という場合、どこかの半導体メーカーと組んで入って行こうとする訳ですよね。そうなった時に現在のARM Japanの陣容で、特にサポートの方は足りるんでしょうか?

A:実際には、日本という枠で捕らえないで良いように、サポートの構造が出来上がっています。基本的には世界中のサイトにサポートの人間がおり、時差関係無くその時に来た順で、Working Hourに居る人間が対応するという形です。実際、日本の自動車メーカーの場合、Detroitにも、Silicon Valleyにも拠点をお持ちですので、それに対応するという意味でも日本というミクロなレベルではなくWorldwideで対応していくというのが現状です。

Q:国内の半導体メーカーで言えば、名古屋に品質管理室の類を置かれているベンダは1社じゃないですよね。あるいは日本だけでなく、ドイツなど色々な半導体メーカーが拠点を設けられている。そうした対応がARMにも今後は必要になってくるのかな、と思いますが、いかがでしょう?

A:現状ではそうしたものが(必要には)なってないです。何故かというと私どもは裏方ですので、部品を直接納入される業者の一歩裏におります。ですので、部品業者とは密にやりますが、その先という話にはならないかと思っています。