Q:今ARMのサーバの話をするとき、CPU LoadとI/O Trafficを考えたとき、I/O TrafficはともかくCPU Loadは低いところを狙うというお話でした。One size does not fit allという事ですから、今はLow endしか狙えないことになりませんか?

A:現状はそうです。

Q:ですが、将来は高信頼性サーバとかそういうところも狙いたいわけですよね。

A:13年かけて(笑)。これ、メリットは1つだけあるんです。某社の様なプロセッサだけを使っていると、Thermal設計が大変です、と。ひいてはエネルギー消費量。特に先ほど出てきたLow Endのデータ処理量の低めのところは数が多いですから、電気自体が地球規模で問題になっています。そこをARMのアーキテクチャにしたら少なくとも2/3位にはなるんじゃないか、というのが私どものDriveしたいところです。

Q:そうは言っても某社も低消費電力のプロセッサを持ってこられました。

A:ですから、最後は処理性能に対する電力効率は同じになります。ただウチの強みは、ウチの方がマルチソースなので、供給が安心ですし、値段も購買から見てネゴシエーションしやすいのではないですか、という言い方ですね(笑)。

Q:最後はそこですか(笑)。

A:サーバで、特に数が多いことろは、最後はここに来るんじゃないかと思うんです。

Q:それは何年のスパンか、という話ですね。

A:まぁ10年以上でしょうね。

Q:もっと言うと、その頃に競合メーカーがどういうポジションにおられるのか。

A:会社としては、ウチはまだ23歳なんですが、競合メーカーはそろそろ50台に近づいておられて。会社というのは、IBMだって80年代に一大改革されて、サービスカンパニーにシフトして、あそこで生まれ変わってるんですよね。だからまだ元気ですけれど、あのままMainframe続けていたらとっくに潰れていますよね。あるいはDECとか。そういう事です。

Q:でもあと10何年かすると、ARMも結構な歳に。

A:そこは壮年期を迎えて、その後のビジネスについては、内輪の話ですけれど、新しいBusiness Unitが出来ているというのはそういう事なんですよ。つまり、Licensingして、Royalityもらってという事は大原さんも書かれてますが、「一杯出たら飽和するんじゃないの?」というのはその通りなんですよ。あと出荷コア数が、地球の人口が100億人まで行くとしても、売れる数は決まってますから、全部ARMが入ったスマートフォンが売れたとしてもどこかで飽和します。ですから、違う事をしなければいけないんです。例えばリサイクルビジネスを立ち上げるとかをARMでやらない限りは、会社規模として某社と同じ位までしかいかないかな、という考えですね。

Q:ARMは、利益率はともかく売り上げの絶対額は伸びてます?。

A:いや、伸びてますよ。ただ絶対値は無茶苦茶小さい。私が入社した時の総売上額は500億円程度でした。今やっと1000億円です。どうです、まだこんなに小さいんですよ。

Q:ただ前CEOのWarren Eastが仰ってたのは、「でも時価総額は凄い事になってるんで、ウチを買収しようとすると大赤字になるんだ」と。

A:それも言い方次第です。株がバブルになっているんじゃないかという言い方もあって。それをバブルじゃ無い様にしないといけないんです。一株あたりの稼ぎをもっと増やすとか、売り上げもちゃんと伸ばすとか。LicenseとRoyalityだけだと地球規模で飽和しますから、その先を狙う必要がある。

Q:その先をお聞きするのには、今はまだ早いんですよね。

A:早いですし、ウチの中でも模索中でして、キーワードはIoT Business Unitの様なところが次のARMのCore Competenceにならないといけないと思います。