1914年に起こったサラエボ事件を発端に開戦した第一次世界大戦。今年でちょうど100年を迎えるこの歴史的出来事を題材にしたドキュメンタリーシリーズ『ザ・ワールド・ウォーズ~権力者が生きた世界大戦~』が、8月9日と10日、CSチャンネルのヒストリーチャンネルで放送される。

番組では1914年の第一次世界大戦ぼっ発から1945年の第二次世界大戦の終結までの30年間を"一つの戦争"として定義し、最新CGを駆使した再現ドラマ、当時の貴重な映像、そして専門家や著名人のインタビューを交えて構成。中でも再現ドラマではヒトラー、スターリン、チャーチル、ルーズベルト、マッカーサー、東条英機など、誰もが知る歴史上の人物に焦点をあて、彼らが大戦を経てどのように権力者へ登り詰めていったのかが克明に描かれていく。

日本での放送に先だってフランス・パリで行われたパネルディスカッションには、元フランス大統領のシャルル・ド・ゴールの甥であるベルナール・ド・ゴール氏をはじめ、歴史研究家や大学教授など、そうそうたるメンバーが出席した。

ベルナール氏は第二次大戦当時を振り返り、「私がまだ10か11歳の子供の頃の1930年代、戦争が不可避だという事態を周囲の雰囲気から察知していました。父や弟たちのために毎日30分ほど新聞を読んであげていました。自分に課せられた些細な仕事でしたが、当時の自分にとっては大きな出来事として記憶に残っています。私自身は英雄でも何でもないのであまりお話しすることはありませんが、連合軍による解放後、戦争には勝利したものの、私たちは消耗しきっていました。そしてその数週間後に広島に爆弾が投下されました。その時はまだ起きた事態の意味がよく分からず、状況を理解するのに数日間を要しましたが、とても恐ろしいことになったと思いました。2度と繰り返してはならない出来事」と自らの戦争体験を交えながらコメントした。

『ザ・ワールド・ウォーズ~権力者が生きた世界大戦~』の放送を記念し、フランス・パリで行われたパネルディスカッション

また、番組にも出演した歴史家でオクラホマ大学教授のスティーブン・ギロン氏は、「これら二つの戦争は20世紀を代表する大きな出来事です。戦争では、個人の考えが強調されて現れると思います。そのような時ほど、個人の真価が問われ、個人の決断が歴史を大きく変えるのです」と、戦争と個人の関係について見解を述べた。

アメリカをはじめ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリアなど、世界12地域共同制作によるこの番組。そのクオリティーの高さは、本作がこのたび発表された第66回エミー賞のドキュメンタリー部門作品賞を含む3賞にノミネートされていることからも十分にうかがえる。また、全米では、本作アメリカ版にオバマ大統領が特別にコメントを寄せるなど、話題になっているドキュメンタリー。マレーシア航空機撃墜、イスラエル軍によるガザ空爆、そしてわが国における集団的自衛権問題と、国際情勢が大きくうごめいている今、この番組が改めて"世界"と"平和"を考えるきっかけにならんことを祈るばかりである。

『ザ・ワールド・ウォーズ~権力者が生きた世界大戦~』(1話60分 全6話)はヒストリーチャンネルにて8月9日(土曜21:00~)、10日(日曜 21:00~)に3話ずつ放送。一挙放送は8月15日(金曜 21:00~)ほか。詳細は特設サイトを参照


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