説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「画面サイズの違うiPhoneが発売されたら、どのような影響がありますか?」という質問に答えます。
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もし画面の大きなiPhoneが発売されたら、当然ながら「手にしたときの感覚の違い」によるさまざまな変化が起こることでしょう。人種によって手の大きさには大小ありますし、性別による差もあります。あまり大きいと、片手で持ち反対の手でタッチするという操作スタイルに変化が現れるかもしれません。
しかし、画面サイズは単純に大きくすればいいわけではありません。画面の精細感/緻密さは、1インチの長さにいくつの画素が収まるかという「画素密度(ppi)」が大きく影響しますが、ただ画面サイズを大きくしただけでは画素密度が低下します。Appleは、自社製品に画素密度を人間の網膜が認識しうる上限(一説によれば300ppi)にまで高めた液晶パネル「Retinaディスプレイ」を自社製品に継続採用していますから、現在の326ppiから大きく下げるとは考えにくくなっています。
画素密度を変えずに画面サイズを大きくすると、それに比例して全体の画素数は増加することになります。iPhone 5s/5cの画面サイズは縦1136×横640ピクセル、総画素数は約72.7万ですが、画素密度が変わらないまま縦横とも10%増(1250×704)になれば88万です。画素数が増えれば、それだけ描画にかかる電力消費量も増え、処理に際しての負荷も上がります。
画面の「最適化」という問題もあります。iPhone 5が登場して画面サイズが変更されたとき縦横比率も変わったために、以前のアプリをiPhone 5で起動すると上下に余白が生じてしまう現象を見かけました。今後画面サイズ/縦横比率の異なる端末が発売されるとすると、App Storeで公開されるアプリが画面の最適化をひととおり終えるまでには、それなりの時間を要することでしょう。