7月19日の18時から20日の17時にかけて、ニコニコ生放送で「ニコニコ23時間テレビ」なる番組が放送された。言うまでもなく、テレビ業界の夏の風物詩『24時間テレビ』(日本テレビ)と『27時間テレビ』(フジテレビ)のパロディだ。なぜ25(ニコ)時間ではなく23時間だったのかは解せないところだが……。

7月19日の18時から20日の17時にかけて生放送された「ニコニコ23時間テレビ」

それはともかく、番組にはタレントの久本雅美をはじめ、新垣隆氏、西川貴教など著名人が多数出演。一方、視聴者アンケートで流れが左右される戦隊ものドラマが放送されるなど、テレビ的な面とニコニコらしい面が融合した意欲的な企画だった。

番組が終了して2週間が経つが、さすがに23時間は長かったのか、全体を俯瞰したレポートはメディアでもあまり出てきていないように思う。23時間テレビで何が起こっていたのか、23時間テレビとは何だったのか。番組全体を振り返りながら、ニコ動運営の狙いも含め、考察していこう。

番組の大きな進行は公式サイトに記されているが、ここでもざっくりまとめておこう。19日17時にスタートした23時間テレビの大まかな流れは次の通りだ。

オープニング→ニコニコ大捜査網!あの人は今→「アイドルマスターシンデレラガールズ"Passion"セレクション」ステージ→スタジオジブリから生中継→弾幕ヒーロー ニコバスターズ→新垣隆 交響曲「HARIKOMI」披露→ニコニコ大捜査網!あの人は今→久本雅美の女だらけでパーっとしゃべりましょ!→ニュース&天気→ニコニコダンス祭りからダンス講座→弾幕ヒーロー ニコバスターズ→将棋電王戦→西川貴教のイエノミ!!→ニコニコ大捜査網!あの人は今→マリオカート8→「貞子3D」上映会→ニュース&天気→ラジオ体操→ニコニコ大捜査網!あの人は今→イタコとしゃべろう!→ニコニコ大捜査網!あの人は今→電脳会議→「スティーブ・ジョブズ」ドキュメンタリー→ニコニコ大捜査網!あの人は今→IT企業対抗!のど自慢大会!!→弾幕ヒーロー ニコバスターズ→松村淳平の「会社は学校じゃねぇんだよ」→ニコニコ大捜査網!あの人は今→パズドラ攻略特番→エンディング

こうしてみると実にバラエティに富んだ企画ラインナップだ。というよりも、富みすぎである。本家24時間テレビや27時間テレビでもさまざまな企画が行われるが、ニコニコ23時間テレビに比べればまだ統一感がある。それくらい、ニコニコ23時間テレビはごった煮感が強い。それ自体はニコ動の強みでもあるが、ひとつの番組として見たときは不安材料にもなる。というのは、あまりにも各コーナーの色が違いすぎると、わざわざ「ニコニコ23時間テレビ」という一つの枠にまとめる意味が薄れるからだ。

24時間テレビや27時間テレビではそうならないように、例えば有名人のマラソンのような24時間ぶっ通しの生企画をちょいちょい挟んだり、統一のテーマを設けたりして、何となく番組全体で一体感を出している。じゃあニコ動の23時間テレビではどうだったのかというと、見ている限りでは、本家のテレビ番組ほどの統一感は感じられなかった。コーナーごとにコメントが盛り上がりはするのだが、それはあくまで目の前の企画に対してのもので、23時間テレビ視聴者としての一体感を感じる場面は少なかったのだ。

例えば『パズドラ攻略特番』は、23時間テレビの企画の一つというよりも、まったく別の番組を見ているようだったし、『西川貴教のイエノミ!!』も23時間テレビならではという内容ではなく、いつもの番組のスペシャル版という印象だった。

一応、ラストのエンディングでは本家24時間テレビと同じく、同じ色のTシャツを着た出演者と観覧に集まったニコ動ユーザーが「踊ってみた」「歌ってみた」で一つになるという演出があったのだが、「感動」とか「一体感」みたいなものでは、「ニコニコ超パーティー」や「ニコニコ町会議」のエンディングの方がずっと感じられる。

もっとも、感動や一体感こそそれほど感じなかったものの、23時間テレビには面白い企画がいくつもあった。