人は永遠の命を手に入れることができるのか? 2日15:00からディスカバリーチャンネルで放送される番組『好奇心の扉:永遠の命は得られるのか?』では、それが実現したと仮定して、未来の様子を推測する。

1032歳になったアダム

人間が抱くさまざまな疑問に答える同シリーズは、各分野の専門家が監修。2日の放送では、人気シリーズ「怪しい伝説」で番組ホストを務めるアダム・サベージが、西暦3000年頃の世界から1000歳を超えた姿で登場する。アダムは「21世紀の医療科学によってサイボーグとなり、不老不死の体を手に入れた」という設定。脳のダウンロードや臓器の総入れ替えをはじめ、さまざまな施術が"不死身"のアダムを生み出した。

時は2022年までさかのぼる。55歳のアダムは交通事故に巻き込まれ瀕死の状態に。臓器移植のドナーはすぐに見つからないため、医師が行ったのは臓器の再生。2000年代初頭から、患者自身の細胞をもとに臓器を再生することに成功していた。次のステップは再生過程の自動化"バイオプリンター"。インクの代わりに幹細胞を使い、臓器の一層一層を印刷して立体化していく。これだけ進歩した2022年の医療。それでも治せなかったのが、神経の損傷が激しく機能しなくなった右腕だった。そこでアダムは、"超高性能義肢"を作る。神経に電極を差し込んだ義手は考えるだけで動かすことができ、それを覆うのは感覚を持つ人工皮膚。つまりアダムは、本物よりも高性能の肉体を手に入れたことになる。

バイオプリンター

本人の体から採取した幹細胞(左)、損傷した臓器の細胞(中)、骨格の役割を果たすタンパク質の3つを混ぜ合わせてバイオインクを生成

超高性能義肢

内蔵されたセンサーが筋肉繊維から出る電流を拾って手に送る

ところが、移植手術中に何らかの不具合が生じ、それが脳血栓を引き起こしてしまう。数分のうちに処置しないと脳に障害が起こる可能性も。その血栓を除去するために使われたのが1マイクロメートルのロボット"スパイダー・メディック"だった。そのほか、大腸の中などを歩き周り癌を探し出す"スパイダー・ピル"、目の中に入り失われた視力を回復させるロボットなど、未来の医療では小型の機器が人体の治療に活躍する。

血栓を取り除く"スパイダー・メディック"

遠隔操作ロボット"スパイダー・ピル"

細胞洗浄装置(写真左)に繋がれるアダム

時は流れて2099年、アダムは132歳になっていた。彼には120人の孫やそのまた孫たちがいたが誰もが永遠の命を望んでいたわけでもなかったので、通常の人より何倍も生きると同時に何倍もの精神的負荷もかかっていた。その後、1000歳を経てついに永遠の命を手に入れたアダム。しかし、彼には今後もあらゆる問題が"永遠"に待ち受ける。まずは前述のとおり、大切な人を何度も失うことによる精神的な負荷。そして、あらゆることをやりつくしてしまうため、とにかく暇を持て余してしまう。何よりも、その生命を繋いでいるのは自分の力ではなく最新の医療技術。永遠に生き続けることは決して楽ではない。

そのほか、古い白血球も取り除くことができる"細胞洗浄装置"、皮膚を支える組織を強化しハリを取り戻すことができる"皮膚再生装置"、細胞増殖を促す"人口子宮"や外部記憶組織"電子海馬"などアダムはあらゆる手を尽くして"永遠の命"に近づいていく。今回番組で再現されたシーンは「すべて起こりうること」で「すでに世界中の研究室で実際に起きているケースもあります」とアダムは言う。

ハチドリほどの大きさのロボット"皮膚再生装置"がコラーゲンの生成を促す薬を皮膚にふきかけ、皮膚を支える組織を強化し肌のハリを戻す

細胞の増殖を促す人口子宮"バイオドーム"

外部記憶装置"電子海馬"