ソニーは7月31日、2014年度第1四半期(2014年4月1日~6月30日)の連結業績を発表した。営業利益は698億円で前年同期より96.7%増、最終損益(「当社株主に帰属する四半期純利益」という)は268億円で前年同期より757.3%増だった。全社的には前年同期を大幅に上回る一方で、セグメント別業績ではモバイル・コミュニケーションの営業損益が△27億円(損失)となっている。
連結業績(米国会計原則に基づく) | |||
2013年度第1四半期 | 2014年度第1四半期 | 前年同期比 | |
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売上高及び営業収入 | 17,114億円 | 18,099億円 | +5.8% |
営業利益 | 355億円 | 698億円 | +96.7% |
税引前利益 | 454億円 | 684億円 | +50.6% |
当社株主に帰属する四半期純利益(損失) | 31億円 | 268億円 | +757.3% |
売上高及び営業収入は2013年度第1四半期(2013年4月1日~6月30日)の1兆7,114億円から5.8%増の1兆8,099億円。これは、プレイステーション 4の発売によるゲーム&ネットワークサービス分野、劇場興行収入の増加による映画分野の増収、為替の好影響などが主な要因だ。営業利益も前年同期比でほぼ倍増したが、これには御殿山テクノロジーセンターの一部売却による売却益148億円も含まれている。
ゲーム&ネットワークサービス分野はプレイステーション 4の発売などによりセグメントの売上高が1,316億円から2,575億円に増加し、営業損益も△164億円(損失)と赤字の状態から43億円の利益を計上するまで改善。一方で、モバイル・コミュニケーション分野は売上高が2,855億円から3,143億円へ10.1%増となるものの、販路拡大や製品ラインナップ拡充のためのマーケティング費用、研究開発費などが増加し、営業損益が△27億円と赤字に転落した。
同日行われた報道関係者向けの説明会に出席した代表執行役EVP CFOの吉田憲一郎氏は、映画、音楽などのエンタテインメント事業、金融事業を除いたエレクトロニクス事業合算の売上高と営業利益の推移を示し、「エレクトロニクス事業は3期続けて損失を計上してきた」としたうえで、「だいぶ改善はしたものの、2014年度第1四半期も営業資産(前述の御殿山テクノロジーセンター)の売却益を除けば80億円の損失となる」と評した。「構造改革を実施し続ける必要がある」と、さらなる体質改善の必要性を訴えた。
モバイル・コミュニケーション分野について吉田氏は、「規模を追わず収益力を重視する」と選択と集中を意識した事業展開を行う姿勢を説明。安いモデルが苦戦しているといい、「ラインナップ構成を変える必要がある」と述べた。具体的には、「グローバルな規模より地域ごとの施策を重視し、通信事業者との関係を強化、プレミアムブランドとしての地位を築いていく」と説明する。なお、5月時点の見通しでは、2014年度通期(2014年4月1日~2015年3月31日)で260億円の営業利益をモバイル・コミュニケーション分野で見込んでいたが、今回示された見通しでは下方修正された。
2014年度通期の見通しは5月時点とほぼ変わらず、7兆8,000億円の売上高及び営業収入、1,400億円の営業利益、1,300億円の税引前利益を見込み、事業構造改革費用の計上などにより最終損益(当社株主に帰属する当期純利益)は△500億円(損失)を見込む。