Beard氏は「Firefox 1.0」リリース前の2004年にMozillaに加わり、その後製品、マーケティング、コミュニティなどMozillaでさまざまな役割を歴任した。暫定CEOおよび取締役会としてMozillaに復帰する前までは、アドバイザーとしてMozillaに関わりつつ、ベンチャー投資会社のGreylock Partnersで1年近くExecutives in Residenceとしてイノベーションや起業についての知見を得たという。

Mozillaはここ1年、安定した正式CEOが不在だった。Mozillaの顔として2010年から3年間CEOを務めたGary Kovacs氏が2013年4月に退任を発表、その後製品担当上級バイスプレジデントと務めていたJay Sullivan氏が暫定CEOとしてMozillaを率いた。Mozillaの取締役会はKovacs氏の後任探しの結果として2014年3月末に、Brendan Eich氏を新CEOに任命、Eich氏はJavaScriptの開発者として知られ、Netscape Navigatorの流れを組むMozillaプロジェクトの立ち上げに関わるなどの顔を持つ一方で、同性結婚に反対する政治的活動があったことからコミュニティや社内の反感を買った。Eich氏はその後2週間足らずの4月初めにCEOを退いている。

Mozillaはブラウザ「Firefox」に加え、モバイルOS「Firefox OS」の開発を進めているが、懸念もある。中でも、同社の最大の収入源となっている米Googleとは、ブラウザでは「Google Chrome」、モバイルOSでは「Android」を持つなど競合の関係となっており、課題といえる。Beard氏は今後、FirefoxとFirefox OSをプッシュしつつGoogleと良好な関係を維持するか、代替の収益モデルを確立する必要がある。なお、NetApplicationsの調査によるとFirefoxのシェアは4月の17%から6月は15%に減少、Chromeにリードを許している状態だ。