他国にやや遅れてセールス・オンデマンドが満を持して日本で発売した、床拭きロボット「Braava(ブラーバ)380j」。土足で部屋に上がらない文化のある日本だからこそ多くの人が待ち望んでいた商品だ。実際、筆者の周りの主婦の間では、発表を受けて「ついに来た!」と歓迎する声が相次いでいた。そんな主婦待望のブラーバをさっそく試してみた。

【左】届いた製品を早速開封 【右】中身一式。iRobot(アイロボット)の製品は付属品用の乾電池も同梱されているのがありがたい

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まずは製品の基本的な説明から。簡単に言うと、掃除ロボットの床拭き版。床と接する底面にクロスを取り付け、自動で床拭きをするという代物だ。端的に言うと、自走式モップロボットである

床拭きロボット本体。正方形の部分が駆動部と操作部で、下側前面にあるクリーニングパッドにクロスを取り付けて床掃除をする仕組みだ

ただし、ロボットというと自走式掃除ロボット「ルンバ」のようなイメージを抱くかもしれないが、その仕組みは割とシンプルだ。ルンバのように人工知能や超音波などの高度なセンサー類は搭載しておらず、落下を回避するための段差センサーは床に接している底面にある2つのパーツが物理的に床と接触しなくなると段差があると認識し、迂回するというややアナログ的な発想の仕組みだ。

【左】クリーニングパッドにクロスを取り付けた裏面 【右】裏面にある段差センサーは、床面との接触を感知して段差を認識するどちらかと言うとアナログ的な仕組みだ

とはいえ、単なるラジコン型モップと違う点は、部屋の形状や家具の配置を把握する技術が搭載されていることだ。「NorthStarキューブ」と呼ばれる付属の装置と交信し、部屋の位置を把握してコントロールを行う。

具体的には、まずNorthStarキューブが天井に向けて信号を照射し、部屋全体をマッピング。本体とは赤外線で通信し、GPSのようにブラーバの位置情報を把握し、室内をくまなく自走して掃除するメカニズムだ。ルンバのように充電台と交信して、掃除終了後に充電台に戻るという仕組みでなく、部屋全体を隅々まで動いたと判断すると、掃除を開始した時点に自動で戻って運転を終了する。

【左】付属のNorthStarキューブ。手に握れるほどの大きさで、赤外線を発光する 【右】NorthStarキューブは、清掃したいエリアのなるべく中央にあるテーブルやカウンターの上に設置する。赤外線で本体と交信して位置情報を把握する

自動的に充電台へ戻る機能がないと聞くと、ルンバのような“全自動感”が薄れる。しかし、よくよく考えると、本製品は同じ自走式掃除ロボットとはいえ、本質的にはカテゴリーが異なる商品。ルンバとは違い、清掃終了後はクロスを洗うなど毎回のメンテナンスが必須。つまり衛生面を考えると、掃除終了後に充電台に戻る必要は必ずしも必要はない。逆に、清掃終了後に充電台に自動で戻ってしまえば、手入れを忘れてしまう人が多いだろう。しかしそれは使い終わった汚れた雑巾をそのまま放置するのと同じ。多少は手入れを怠っても問題のないルンバとは違い、不衛生だ。その点において、ルンバとは本質的に大いに異なる製品であることに留意しておきたい。