石油由来の成分を使わないと商品化は難しいといわれてきた製品を天然成分だけで商品化し、低価格で提供してきたアスカコーポレーション。今回、新たに発表された新ブランド「TNオーガニック」では、2カ月分の用量で各商品1本、490円という低価格を実現した。どのようにして、そのような低価格を実現したのか。開発の裏側を探った。
TNオーガニック誕生のキッカケ
ユーザーとの直接対話を重要視しているという同社の南部昭行社長。数年前、多くのユーザーを集めた相談会の場で、ひとりの女性から「私はアスカの大ファンです。でも残念ながら、もうアスカの製品を使うことができないんです」と言われ、一通の手紙を受け取った。 普段は家に帰ってからそういった手紙に目を通すという南部社長だが、その女性の切実な表情から、あえてその場で目を通した。その手紙には、親の介護や仕事の問題など、家庭のさまざまな事情で、これまでのように商品を買うことが難しくなったという切実な想いが綴られていたという。
そして「私は思わず、どれくらいの価格であれば、無理なくお使いいただけますか、と尋ねました。帰ってきた答えは数百円。このときの体験が、TNオーガニックの開発を進める、ひとつのキッカケになりました」と南部社長はそのときのことを振り返った。
天然成分の化粧品を使いたい人95%。けれども高いと思う人も95%
この手紙をきっかけに、南部社長は早速、新ブランド開発に着手する。まずは、他のユーザーがどう考えているのかを調査するため、「天然の成分から作られている化粧品 / シャンプー / メイク / サプリ / 食品と、石油系の成分から作られた化粧品、シャンプー / メイク / サプリ / 食品のどちらを使いたいか?」「天然化粧品は高いと思いますか?」というアンケートを実施。その結果、天然成分の化粧品を使いたいと考えている人が94.6%もいることが判明した。しかし、その一方で、天然化粧品は高いと思っている人が、ほぼ同数の95.4%もいることもわかった。
その結果を受け、南部社長は「いちばん私が辛かったのは、『天然、オーガニックの製品の良さはわかります、でも価格が高いので、使っていない』と言われることでした。ご家庭にひとつでも、ホンモノの天然の製品を置いていただきたい、そのためには、ホンモノの天然成分にこだわった製品を誰もが買える価格で提供しなくてはいけない。それが私の使命だと思うようになりました」とコメントする。
そして「最初は、誰に話しても、無理です、不可能です、のオンパレード。でも、人類の歴史を見てください、できないと決めつけるから不可能なのであって、できる、やるんだと決めれば、創意工夫が生まれてくるわけです。そして構想から7年、本格的な開発着手から2年の歳月を得て、ついにこの夏、2カ月分の用量をワンコイン、つまり500円以下で買える新しいブランド、TNオーガニックを発表することになりました」と、その新ブランドへ対する並々ならぬ想いを明かした。
この低価格を実現できたのはなぜなのか。その点について、南部社長は「まずは、原材料の工夫です。より効果の高い美容エキスを30種類に厳選しました。またハード面では容器をイチから作り直し、箱をやめるなど徹底的に無駄を省きました。さらに肌に必要な5大美容成分をナノ化することで、価格を安くしながらも、より濃く実感できるようにしています」と、いくつかのヒントを教えてくれた。
新ブランド「TNオーガニック」に込められた想い
同ブランドの「TN」とは、じつは南部社長のイニシャル。自分の名前を付けることで、覚悟と責任を表明したという。そして、発売前に行ったサンプル調査でも、実際に使用した結果、9割以上の人たちが購入を希望するなど、南部社長も、これまで以上のに大きな手応えを感じている。
なお、TNオーガニックでは、クレンジング、ウォッシュ、ローション、エマルション、クリーム、いずれも単価は税込490円(2カ月分)。また同シリーズのエッセンスも、税込み790円(4カ月分)という低価格を実現している。