一匹の子ギツネの物語を紹介しよう。栄養失調状態でイギリス・コーンウォール州、ニューキーの水溜りにびしょびしょで横たわっていた子ギツネが、親切な旅行者によって救助された。すぐに近くの動物病院に運ばれたが、尻尾がなくなっていた。おそらく捕食動物によって食いちぎられたのだろう。その後看護婦たちによって、フォレスト・スタンプと名づけられた。

この病院の獣医がゲイリー・ザミット牧場に連絡をし、保護してもらうこととなった。牧場主であるゲイリーさんは大の狐好きであり、また自然保護活動も熱心に行っていることで名を知られていた。発見された当時、フォレストは生死の境をさまよっていた。このくらい小さなキツネの容態は急変することも珍しくなく、24時間看護のもとにおかれていた。

ゲイリーさんはこれまで何度も、傷ついたキツネを保護し、時機を見て野性に帰していた。ところが今回、フォレストのリハビリに取り組んだのはゲイリーさんだけではなかった。牧場で飼われている犬のバーニーがその役をかってでたのだ。キツネのフォレストと犬のバーニーはあった瞬間に意気投合したようだ。実は犬のバーニーも、尻尾を失い捨てられていたところを救助されていたのである。

ゲイリーさんは「まるで一目ぼれみたいにあっという間に仲良くなったんだよ。バーニーはフォレストにすごく優しかったし、毎日何時間もじゃれあっているんだ。ずっとじゃれあっているから、見ててきりがないんだよ。2匹ともないはずのしっぽを全力で振ってるみたいに楽しそうにね。」と語る。

キツネのフォレストは、本来ならば野生に帰さなければならないのだけれど、どうにも人になつきすぎた。それ以上に犬のバーニーにべったりで、完全に犬化してしまったようである。さらにゲイリーさんは「フォレストはもう、自然に帰れそうにないかもしれない。でもそれはバーニーにとってはよかったのかもしれないな。これから私たちはフォレストを牧場にいるほかの狐たちと一緒に育てていくつもりなんだ。そのうちきっと、フォレストも犬だけでなく、狐たちと仲良くなっていくと思う」と話している。

 フェイスブックで写真を載せたところ、フォレストにはたくさんのファンができた。ゲイリーさんは、フォレストを命の危機から救ってくれた心優しい旅行者にこれからも成長の様子を耐えずお知らせしていく予定だという。

カラパイア

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