シアトルは飛行機マニアの聖地と言われている。言うまでもなくボーイングの工場があるためだが、航空博物館なども充実している。これらの楽しみ方をガイドしよう。
シアトルにある4つの空港の違い
まず混乱しないように知っておきたいのは、シアトルには4つの空港があり、それぞれに個性があるということ。日本からの定期便が到着するのはシータック空港で、シアトル市とタコマ市の間に造られたためこう命名された。滑走路が3本もある忙しい空港だが、シアトルでは「普通すぎる」ためにわざわざ時間をとって飛行機見物をする人は少ない。帰国の日に早めに行って、出発待合室のガラスごしに旅客機を撮るくらいでも十分だろう。
シータック空港と市内の中間点にあるのが、"ボーイングフィールド"とも呼ばれるキングカウンティー空港だ。空港から市内に向かうハイウェイからも旅客機が並んでいるのが見えるが、これらはいずれも航空会社に引き渡される前のできたてホヤホヤの機体である。
ただし、ボーイングフィールドには工場はなく、小型の737は東に6kmほど離れたレントン空港の工場で作られている。レントン空港は滑走路が短く飛行試験には適さないため、完成した旅客機は初飛行のついでにボーイングフィールドに移動し、試験を続行するのである。また737以外の747、767、777、787といったワイドボディ旅客機は、北に35km離れたスノホミッシュカウンティー空港(別名ペインフィールド)のエバレット工場で作られ、試験されている。
運がよければ製造中の最新機体も見られる!
シアトルで確実に押さえておきたいのは、エバレット工場の見学ツアーだ。これはペインフィールドにあるフューチャー・オブ・フライト(以下、FOF)で受け付けており、料金は大人20ドル(予約した場合は18ドル)。あいにく工場内は撮影禁止で、携帯電話を含むカメラの持ち込みは禁止されているが、世界最大の旅客機工場は一見の価値がある。また、見学ツアーの発着地となっているFOFには、たくさんのロゴ入りグッズを扱ったボーイングストアもある。
問題はFOFまでの公共交通機関がないことで、最も簡単には市内発のツアーを利用すればよい。英語でもよければひとり70ドル程度、日本語通訳に同行してもらう場合には倍くらいの費用だ。もしレンタカーを運転できるならば、その方が安上がりで自由に動けるだろう。幸いにして道順はそれほど難しくはないし、日本語対応のカーナビを借りられるレンタカー会社もある。
また、FOFはペインフィールドでも最もポピュラーな旅客機ウォッチングポイントでもあり、工場内と違って自由に写真撮影を行うことができる。レンタカーならば時間に縛られずに粘れるし、ペインフィールドにいくつもある航空博物館をまわることもできる。
とりわけマイクロソフトの共同創業者ポール・アレンが設立したフライング・ヘリテージ・コレクションは必見。第二次世界大戦当時の戦闘機などを新品同様のコンディションに維持しており、日本の隼戦闘機や零戦なども収められているのだ。
※記事中の情報は2014年7月取材時のもの