7月9日~11日に東京ビッグサイトで開催された、アジア最大級の文具・紙製品・オフィス用品の商談会「第25回 国際文具・紙製品展(ISOT)」。初日には、機能・デザイン面に優れた文具を表彰する「第23回 日本文具大賞」のグランプリ表彰式も行われた。本レポートでは、大賞及び優秀賞を受賞した製品5点の詳細と開発秘話を紹介する。

「第25回 国際文具・紙製品展(ISOT)」初日に「第23回 日本文具大賞」のグランプリ表彰式が行われた

お父さんの愛情から生まれた鉛筆削り

まず紹介したいのは、機能部門で大賞を受賞した、ソニック「ラチェッタ ワン ハンディ鉛筆削り」。「ラチェッタ」とは、機械工学で動作方向を一方向に制限するために用いられる「ラチェット機構」からとったネーミングだ。どのようにしてこの仕組みを使った鉛筆削りが誕生したのだろうか。開発に携わった研究開発部の糸井さんにお話を伺った。

ソニック「ラチェッタ ワン ハンディ鉛筆削り」

糸井さん「うちには小さい娘がいまして、鉛筆を削るのに四苦八苦していたんです。鉛筆を一方向に回し続けるということは、大人にとっては簡単なのですが、小さい子供にとっては難しいということに気づきました。『手を離してもう一度鉛筆を握り直す』という動作がなかなかできないんです」

「鉛筆を握り直さなくてもいい鉛筆削り」を作るためには、どうしたら良いか。そう考えていたときに浮かんだ仕組みが、工具や自転車などに使われている「ラチェット機構」だ。

糸井さん「私はバイクが好きなので、工具やバイクのギアに使われているラチェット機構もなじみのあるものでした。そしてこの仕組みと鉛筆削りを結びつければ、左右にひねるだけで鉛筆を削れるのではないかということに気づいたのです」

更に鉛筆を差し込むだけでパカっと開くシャッターを搭載し、フタの開け閉めをなくすことで、ひっくり返しても削りカスがこぼれる心配がない「ラチェッタ ワン ハンディ鉛筆削り」が誕生したのだ。

未就学児でも簡単に鉛筆を削れる仕組みが満載

糸井さん「小さい子供でも使える鉛筆削りですが、デザインがシンプルなので、大人のデスクにもしっくりなじむと思います。子供たちには自分で鉛筆を削ってお絵かきを楽しんでほしいです」

「ラチェッタ ワン ハンディ鉛筆削り」の市場想定価格は300円(税別)。種類はイエロー・ブラック・ブルー・ピンクの全4色で、10月より発売予定だ。

「女子力」が上がりそうな筆ペン

デザイン部門の大賞は、呉竹「ZIG メモリーシステム ウィンク オブ ルナ ブラッシュ」。同製品はいわゆる「筆ペン」で、鮮やかな発色のメタリックカラーインクが特徴だ。同シリーズには昨年発売されたラメインクの「ウィンク オブ ステラ ブラッシュ」がある。

「ZIG メモリーシステム ウィンク オブ ルナ ブラッシュ」

筆ペンといえば黒インクが主流だが、なぜカラー、しかもメタリックやラメインクの筆ペンを作ったのだろうか。国内営業部の立石さんに聞いてみた。

立石さん「筆ペンは、一本でベタ塗りや細かい文字、強弱のある線も書けます。また、ラメやメタリックインクは普通のペン先だと詰まりやすいのですが、筆ペンの穂先だと詰まりにくく一度にたくさん出すことができるので、よりキラキラした文字や絵がかけるんです」

意外にもラメやメタリックは筆ペンと相性が良いらしい。そして、このシリーズにはボディーにもこだわりがあるという。

立石さん「筆ペンというと、黒や茶色のボディーで結構渋い見た目のものが多いです。こちらは女性向け商品ということで、マスカラのような化粧品をイメージしたデザインとなっています。かわいいペンと並べてペンケースに入れていてもしっくりなじみます」

確かに、白とパールを基調にしたボディは、キャップを開けてペン先を見ないと「筆ペン」とはわからないほどオシャレ。握り心地も良く、柔らかな書き味が楽しめる。

カードや年賀状を書くのにおすすめだ

立石さん「昨年発売されたラメインクの「ウィンク オブ ステラ ブラッシュ」も人気で、特に年賀状の時期に売り上げが伸びました。また、グリーティングカードを書く文化のあるアメリカでも、筆ペン独特の書き心地と鮮やかな発色が好評なんですよ」

「ウィンク オブ ルナ ブラッシュ」の市場想定価格は450円(税別)。種類はレッド・グリーン・ブルー・バイオレット・シルバー・ゴールドの全6色。8月8日より文具店などで発売予定。

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