ベネッセホールディングスは17日、子会社のベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)で大量の個人情報が流出した問題で、顧客に対するお詫びの品の配布や受講料の減額などを実施するため、200億円の原資を準備すると発表した。当初は金銭的な補償を否定していた。

警視庁は17日、ベネッセのシステム開発・運用を行っているグループ会社・シンフォームの業務委託先の元社員(39歳、男性)が、顧客情報を社外に漏えいさせたとして、不正競争防止法違反の容疑で逮捕。ベネッセは15日に警視庁に刑事告訴を行っている。

同社によると、顧客からは、個人情報を提供したことがない企業(教育関連事業者など)からセールスのダイレクトメールや電話が来ているといった苦情が寄せられているという。なお、現時点では金銭的な被害は発生していない。

今後、顧客への補償については、200億円の原資を準備し、お詫びの品や受講料の減額など、これまでの事例も参照しながら様々な方法を検討していく。具体的な内容については、情報が漏えいした顧客の確定などを待ってから検討作業に入るとしている。

併せて、顧客への対応を行う専門組織「お客様本部(仮称)」を設置。顧客が身に覚えのない会社からダイレクトメールや電話などを受けた場合には、その情報を提供してもらい、発信者に対して、不正に取得した名簿の利用停止および第三者機関への提出を呼びかけるという。

ベネッセのサービスを希望する顧客に対しては、同社が送付する全ての郵便物に、顧客の同意を得て取得した情報に基づいて郵送していることを明記する。また、顧客情報を第三者が不正に入手したとの情報を得た際には、同社が可能な範囲で入手ルート解明などを行う。

このほか、社会貢献活動として、社外の有識者を含めた研究グループを設立し、個人情報保護に関する啓発活動を進めることを検討する。

今回の問題によるベネッセホールディングスの連結業績への影響については、現在精査中で、影響が確定次第、速やかに適時開示を行うとしている。

なお、顧客に対しては、ベネッセからと誤認させるようなダイレクトメールやしつこい勧誘、詐欺まがいの電話などには十分注意してほしいと呼びかけている。