経済産業省は16日、日本ファッション産業の海外展開戦略に関する調査の結果を発表した。同調査では、中華圏(中国、香港、台湾を含む)、東南アジア圏、北米圏、西欧圏におけるファッション市場と産業構造を調査・分析し、グローバルマーケットで成功するためのポイントを抽出したという。

それによると、日本のファッション市場は、ここ10年緩やかな縮小傾向にあり、2002年の20.2兆円(アクセサリー等含む)から2013年は18兆円に縮小。2020年の予測も18.9兆円と、今後の市場伸び率も鈍化している。このような状況の中、多くの企業が海外進出を志向するも、海外売上が2割を超える企業はファーストリテイリングなど限定的であり、国内上位企業のうち7割以上が海外比率10%未満にとどまっているという。

一方、世界の主要国におけるファッション市場規模は、2013年に206兆円、2020年には325兆円に成長すると予想。中でも中華圏は2020年までに60兆円拡大し、世界最大規模の113兆円に成長すると見込んでいる。また価格帯別に見ると、2020年にかけて、ラグジュアリ帯が14兆円、ミドル帯が66兆円、ロー帯が40兆円拡大すると予測している。

各国の価格帯別のファッション市場の分布イメージ(出典:経済産業省Webサイト)

同調査は、日本ファッション関連産業全体として、一定の海外売上規模感を達成するには、中国・東南アジア圏でのアッパーミドル市場の重点開拓が必要と提言。中国を中心とした新興国では、ハードルは高いものの、一定の育成余地はあると分析している。