Googleは14日、国内の企業・教育機関向けにChromebookおよびChrome管理コンソールの提供を開始すると発表した。米国を始め、既に海外では広く販売されているChromebookだが、日本での正式発表は初となる。
今回は企業や教育機関向けのみの提供で、コンシューマへの提供は検討中。提供製品は、「現時点では」という断り付きで、Acer、Asus、Dell、ヒューレットパッカード、東芝の5社から順次発表予定。具体的な時期は、Acerが7月、ASUSが8月、ヒューレットパッカードが9月、Dellと東芝が近日中。日本での価格帯は明らかにされなかったが、米国での200~300ドル(約20,200円~約30,300円)という提供価格が例示された。
同日、都内で行われた発表会では、Google Chromeチームのシニアエンジニアリングマネージャーの及川卓也氏が、2008年から提供しているChromebookの基幹ソフトウェア「Chromeブラウザ」と、Chromebookについて紹介。「シンプル(Simple)」「スピード(Speed)」「セキュリティ(Security)」の"3S"が、ChromeブラウザとChromebook両方のコンセプトとした。
Google Chromeチームのシニアエンジニアリングマネージャーの及川卓也氏。例えばChromebookではメールの作成が起動から10秒以内で可能になるなど、「文房具のように使ってほしい」とコメント |
「シンプル」に関しては、Chromebookで言わば「ウィンドウ」の役割を果たすChromeブラウザのユーザーインタフェースで余分な情報を排除し、検索ボックスとオムニバーを統合するなどUIを整理。また「スピード」ではWebページのレンダリング速度を日々高めているとした。
セキュリティに関しては、最新OSへの自動アップデートや内部データの暗号化、データのリカバリ機能のほか、例えば悪意のあるアプリをダウンロードしてもサンドボックス型セキュリティシステムのため致命的な影響はないとするなど、安全性の高さを特に強調した。
Chromebookの提供と合わせ、Chromebookの管理コンソールも提供される。Google エンタープライズ部門 マネージングディレクターの阿部伸一氏は、米国のビジネス環境に置けるChromebook販売数の割合は21%に上るとし、Chromebook導入のポイントとして「管理性」「セキュリティ」「継続性」を3点を挙げ、特に管理性では、従来PCの導入費を63万円/3年とした場合、Chromebookの場合では10万円/3年となるなど、コスト面も大幅に削減できることが優位と紹介した。
管理コンソールでは、「外部ストレージを許可しない」などセキュリティ系の項目を含め120以上の管理ポリシーを備えるが、1台1台を設定せずとも、管理者が管理画面を通じて複数のChromebookをネットワーク経由で一括で設定・管理できる。必要なアプリは専用の「Chrome ウェブストア」から拡張機能として管理画面からダウンロードする。
質疑応答では、主に製品やコンシューマへの提供に関する質問が相次いだ。まず、コンシューマへの販売については、提供するかどうかも含め検討中とし「今回は完全に法人・教育機関向けの提供」とした。また、当初はWi-Fiモデルのみで、LTEモデルは導入パートナーのニーズに合わせ検討する。海外市場と国内市場の投入タイミングの差については、「速く投入したい気持ちはあったが、販路やサポート、メーカーの準備などが必要だった。今がベストなタイミング」と説明した。
また、「ChromebookはPCと共存するのか、それとも置き換えなのか」という質問には、「ユーザーやマーケットが決める」と回答。「書籍や音楽の流通も代わり、コンテンツがPCではなく他デバイスに直接インストールされるなど、PC自体も従来のコンテンツをまとめる"中心"の役割から変化している」と話した。
Chromebookのハードウェア構成なども「各メーカーごとに異なる」と詳細は非公開とされたが、発表会では、海外モデルをカスタマイズしたとみられるChromebookの実機も展示された。
展示機は海外で発表済みのASUS製「C300」「C200」、およびAcer製のモデル(型番不明)の計3製品。なお、いずれも実際に販売される製品とは限らないとのこと。ちなみに海外モデルの「C300」「C200」はBay Trail-MことCeleron N2830を搭載したChromebookで、画面サイズは前者が13.3型、後者が11.6型で解像度は1,366×768ドット。11ac対応無線LANやUSB 3.0、HDMIなどのインタフェースを備えている。