7月1日に2015会計年度に移ったMicrosoft。CEOのSatya Nadella氏が全社員に送った「Starting FY15 - Bold Ambition & Our Core (2015年度の始まり - 大胆な野心とわれわれのコア)」というメールが公開された。Steve Ballmer氏の時代に掲げた「デバイスとサービス」の成果を認めながらも、さらにユニークな戦略に高める必要があると訴え、また同社の文化を大胆に進化させると宣言している。
「PCを全ての家庭、全ての机に普及させることで、テクノロジを通じて、人々や組織が夢や目標を追い、実現するためのチャンスが広がるという信念からMicrosoftは設立されました」
そこからMicrosoftは90年代にPC市場を制し、PC市場の成長が同社の強みになっていた。しかし、コンピューティングの主流がPCからモバイルへと移り始めた。Microsoftも変化を強いられ、2013年に当時CEOだったSteve Ballmer氏が"デバイスとサービス"の企業を目指す方針を示した。
「デバイスとサービスという定義は、変革をスタートさせる上で助けになりましたが、われわれはそれをよりユニークな戦略に仕上げなければなりません」
Microsoftならではの新たな戦略とは、Nadella氏がCEO就任時に示した"モバイル優先、クラウド優先"である。
「モバイル優先、クラウド優先の時代において、Microsoftはプロダクティビティとプラットフォームの企業であるのをコアとしています。全ての人、全ての組織が、より多くの仕事をこなし、より多くの目標を達成できるように、われわれはプロダクティビティを再発明します」
Nadella氏のメッセージはMicrosoftの歴史を重んじながらも、それにとらわれずに進化させようという大胆なものだ。
「このコア戦略を遂行する上でわれわれのカルチャーをどのようにシフトさせるべきか、あらゆる提案を検討します。組織は変わります。合併・買収にも乗り出します。職責も進化します。新たなパートナーシップも形成します。そして古びたしきたりは見直します」
6月末頃からMicrosoftが人員削減を行うという噂が報じられ始めたが、Nadella氏のメッセージからは厳しい組織改革の可能性も読み取れる。具体的には、顧客主体、Data-Drivenで、スピードや品質を重んじる体制に製品チームとエンジニアリングプロセスを変えていくという。
「デバイスとサービス」から「モバイル優先、クラウド優先」にシフトすると、モバイル関連以外のデバイスは切り捨てるように読み取れるが、デバイスについては大局的に手掛けるようだ。Nadella氏の就任後から売却や切り離しの噂があったXbox事業については、モバイルでゲームが大きな分野になっていることから、今後もXbox事業を通じて積極的にゲーマー市場に関わっていくとした。
Surfaceに関しては、ファーストパーティのハードウエアが新たな製品カテゴリを開拓することでWindowsのエコシステム全体が刺激を受けるとした。同様の効果をNokiaの端末でも実現するという。